「毎晩、怖い夢を見て、眠れないんです。起きてみると、どんな夢かは思い出せません」――。少女は14歳。年齢のわりには
小柄だ。中学校1年生だが、正常な学校生活が送れないと、休学している。両親によると、心の傷の原因は小学校5年生のときに
校長から受けた“恐怖の体罰”という。
■規則違反の女子生徒、校長が縄で縛り刀で脅す
少女は、雲南省大理市の農村部、楚場村の小学校生徒だった。中国では小学校が寮生活することも珍しくない。少女も学校の
寮に住んでいた。2008年5月 27日夜、寮の隣の部屋の女子生徒に、自分のくしを貸していたことを思い出した。朝になってから
返してもらったのでは遅刻するかもしれないと思い、消灯時間は過ぎていたが、隣の部屋に行こうとした。
その時、見回りに来た熊続周校長ともうひとりの教師が、廊下にいた少女を見つけた。校長は少女をしかりつけた。
翌日になり、少女とくしを貸した相手の少女ら、計3人が校長室に呼び出された。熊校長は長時間にわたり少女らをののしり続け、
別の部屋から縄と刀を持ってきた。校長は、消灯時間後に部屋を出た少女を縄できつく縛り、床の上に座らせた。そして、刀を振り
回して少女を脅したという。その後で縄を解かれたが、少女は「本当に恐かった」という。
当時、少女の担任だった教師も、熊校長が生徒を縄で縛ったり刀で脅したことを認めた。「呼び出されて校長室に行った。最初は
理由が分からなかったが、校長が口汚く少女をののしっているのを聞き、前日のことが原因と分かった」、「少女は泣いてはおらず、
ただ驚いているように見えた」という。
■村側も校長の落ち度認め、和解が成立
少女の父親によると、小学校所在地の楚場村側も熊校長に問題があったと判断し、調停に乗り出した。08年12月25日には「楚場
小学校・熊続周同志が行き過ぎた管理を行い、生徒の精神を傷つけたことに対するつぐないについて」とする和解書が交わされた。
同和解書は、問題の発端は生徒側の規則違反にあったとした上で、綱や刀を用い、暴言をつらねた校長の行為は過ちだったと
断定。校長は「全校の生徒・教師の前で謝罪する」とし、◆校長には過ちを改める機会を与える◆校長は今回の問題から教訓を汲み
取り、2度と同じ過ちをおかさないことを約束する――などと書かれていた。
校長が落ち度を認めるかわりに、公式な処罰は行わない内容だったが、それ以外に「今後5年内に、今回の刺激が原因で生徒の
精神に障害が出た場合、熊続周校長本人が、治療費の70%を負担する」との1文もあった。和解書には、村の公章も押されていた。
■父親:和解書は一方的に破棄、医療費部分が削られた
ところが村側は、生徒の保護者に「調停書には法律的な問題があり、改めて作成する」と通告。09年12月8日になり、「第二次
調停書」に署名するよう求めた。校長側に問題があったと認める部分は同一だが、「校長の治療費70%負担」の部分が削除されて
いたという。村側の公章もなかった。
少女の父によると、村側は最初の調停書を返却するよう求めたが、コピーをわたしただけで、調停書そのものは保管している。
「私は字を知らない。2回目の調停書は、その場にいた人がみな『問題ない』と説明したので、サインした」という。
■専門家:大人の争いが少女の苦痛を増している可能性
少女は悪夢、不眠、夢遊病などの症状のため、これまでに2度入院したという。父親は「医療費の補償はまったくない」と述べた。
大理ぺー族自治州第二人民医院神経精神科の周主任によると、少女の精神的障害の原因が、校長から受けた恐怖によるものか
どうか、現状では断定できない。確定には、少女の過去の精神史なども、相当に詳しく調べることが必要と言う。ただし、少女の両親を
含め、大人の争いが絶え間なく少女の耳に入ることで、過去の記憶が絶え間なく繰り返されることになり、少女の状態を悪化させている
可能性があるという。(編集担当:如月隼人)
ソース:サーチナ 2010/03/11(木)
http://news.searchina.ne.jp/disp.cgi?y=2010&d=0311&f=national_0311_047.shtml