★茶の原種はラオスにあり? 樹齢300年の大樹発見
中国と国境を接するラオス北端の標高約1、600メートルの山中で、茶の原生種に近いとみられる
野生の茶の大樹が見つかった。
元愛知大教授の松下智さん(79)=愛知県豊橋市=を団長とするラオス調査団が1月にポンサリー
県の現地を踏査し、突き止めた。なぞだった茶の起源解明の手がかりとなる発見として、注目を集め
そうだ。
一帯には同様の茶の大樹が点々と分布しているとされ、松下さんは
「ラオスと中国、ベトナム国境の山岳地帯に広がる冷涼な常緑季節林帯が、緑茶や紅茶などアジア
各地に広まった茶の原産地の一画である可能性が高まった」と話している。
ただ、専門家の間からは
「大・中・小葉種と分化していく茶の進化の様子を確認するなど、もっと綿密な調査が必要」として、
慎重な見方も出ている。
調査によると、見つかった茶の木は大葉種と中葉種の中間で、学名カメリア・シネンシスの変種と
みられる。高さ約12メートル、根元の幹回り94センチ、樹齢約300年と推定される。
茶葉の長さは15センチ弱だった。
少数民族ラオテン族が住む同県バンコエサイ村から300メートル登った標高約1、600メートルの
急斜面に広がる原生林の中で1月21日に確認した。焼き畑農業などで開発された様子がなく、
栽培種の可能性はまずないという。現地では野生の茶葉を摘んで飲んでいた。
茶の原産地については、中国雲南省やインド・アッサム地方などが通説とされるが実証されておらず、
有力な手がかりが学術調査で見つかったのは初めて。同県は19世紀末まで中国領の雲南の一部
だった。
松下さんは国内外の茶産地の歴史、文化を研究している第一人者。山向こうの中国側は焼き畑
農業による開発が進み、原産地の実証が難しいため、未開発状態のラオス側に注目し、2004年
から同国教育省の協力を得て調査している。
◆原生種解明に期待
<茶の起源を研究している山口聡玉川大教授の話> 植物学的にも注目されるラオス北部で、
野生に近い状態の茶の木が見つかったことはとても興味深い。茶の生産は山に自生している茶の
種を採ってきて、栽培が始まった歴史がある。それ以前の原始に近い状態が今なお残っていると
すれば、原生種解明に大きな手がかりとなる。
▼ ラオス北部の山中で見つかった原生種に近いとみられる茶の大樹=調査団提供
http://www.chunichi.co.jp/article/national/news/images/PK2010020902100136_size0.jpg ▼ 茶の大樹発見場所
http://www.chunichi.co.jp/article/national/news/images/PK2010020902100137_size0.jpg ソース:中日新聞 [2010年2月9日]
http://www.chunichi.co.jp/article/national/news/CK2010020902000252.html