ミャンマー:スーチーさん解放へ 来年の総選挙直前にも
【バンコク西尾英之、北京・浦松丈二】軍事政権下のミャンマーで来年予定される総選挙直前に、
自宅軟禁中の民主化運動指導者アウンサンスーチーさん(64)が解放される可能性が高まってきた。
複数の情報筋が毎日新聞に明らかにした。スーチーさん率いる最大野党「国民民主連盟」(NLD)も
総選挙に参加する可能性が強まっている。
軍政は国際社会が求めるスーチーさん解放に応じた場合の総選挙への影響を慎重に検討してきた。
解放しても選挙結果に大きな影響はなく、軍による実質的な支配体制は揺るがないとの自信を
深めている模様だ。
軍政は今年8月、スーチーさんに対し、米国人がスーチーさん宅に侵入した事件を利用して
軟禁措置を1年6カ月間延長、総選挙終了までスーチーさん「拘束」を継続する姿勢を鮮明にしていた。
一転してスーチーさん解放に応じる可能性が高まったのは、今年1月発足したオバマ米政権が
制裁一辺倒の対ミャンマー政策を対話路線に大きく転換させたことが契機となった。
米国のキャンベル国務次官補は11月初め、米高官として14年ぶりにミャンマーを訪問し、
軍政のテインセイン首相、スーチーさんと相次いで会談。双方に当事者間の「対話」を要請し、
総選挙へ向けた一連のシナリオを提示した可能性がある。
特に軍政に対しては、国際社会が総選挙に求める「自由、公正かつすべての関係者が参加する」
との条件を満たすよう、国民民主連盟の参加を強く求めたとみられる。
軍政に近い筋によると、軍政は「スーチーさんを解放し、国民民主連盟を選挙に参加させたとしても、
国民民主連盟の獲得議席は全体の4分の1程度にとどまる」と分析。解放のタイミングについて
「投票日直前」で固めつつあるという。一方、軍政と太いパイプを持つ中国政府関係者も
「選挙前にスーチーさんが解放される可能性が高い」と語った。
一連のシナリオが実現すれば国際社会は「ミャンマー民主化で進展が得られた」と評価できる。
一方の軍政側も「選挙の正統性」をアピールし、選挙後の国際社会への本格復帰への
足がかりを築くことができる。
選挙の時期は来年3〜4月、もしくは秋ごろとみられている。
◇アウンサンスーチーさんの自宅軟禁とは……
スーチーさんは88年、英国から帰国して民主化運動に参加。この年クーデターで実権を掌握した
軍政はスーチーさんの影響力を恐れ、翌89年に自宅軟禁にし、95年7月まで継続した。
その後、00年9月〜02年5月に2回目。03年9月からの3回目は今年5月に期限切れの
予定だったが、米国人のスーチーさん宅侵入事件に絡んで当初の懲役3年の判決を
1年6月の自宅軟禁に減刑し、軟禁は継続中。スーチーさんは帰国後の21年のうち約14年を
事実上拘束下に置かれている。
毎日新聞 2009年12月28日 2時35分
http://mainichi.jp/select/world/europe/news/20091228k0000m030093000c.html ※依頼ありました(依頼スレ123、
>>42)