全乗組員逮捕で密輸船放置1年、撤去めど立たず
覚せい剤の密輸に使われた貨物船が北九州市の門司港に接岸したまま放置され、
1年たっても撤去のめどが立っていない。香港の船主が行方をくらまし、
引き取り手がいないためだ。岸壁使用料の滞納は400万円を超えており、
岸壁を管理する市港湾局は「開港以来、こんな異常事態は初めて」と頭を抱えている。
問題の貨物船は、アフリカ・シエラレオネ船籍の「UNIVERSAL(ユニバーサル)」号
(1195トン、全長約70メートル)。昨年11月10日、中国から門司港に入港し、
田野浦6号岸壁に停泊した。翌11日に福岡県警などの捜索で燃料タンクから
約300キロもの覚せい剤が見つかり、インドネシア人の乗組員12人全員が、
覚せい剤取締法違反容疑で逮捕、起訴された。乗組員は公判中だったり、
実刑判決が確定したりしている。
同月下旬には、別の船がベルトコンベヤーの設備がある田野浦6号岸壁への接岸を望んだため、
貨物船の入港手続きをした船舶代理店がタグボートで約200メートル離れた8号岸壁に移動させたが、
その後は放置されている。8号岸壁への接岸を希望する船には、市港湾局が別の岸壁に向かうよう指示している。
代理店によると、船主は所在不明だが、中国国内にいる船主の関係者とは連絡が取れているという。
9月頃、中国の会社が「転売したいので、船体を買いたい」と市港湾局に問い合わせてきた。
中国の会社は現在、この関係者と交渉中だが、売買契約が成立するかどうかはまだ分からないという。
市港湾局によると、8号岸壁は1日約1万1500円の使用料が必要で、貨物船はこの1年間で
約410万円の支払いが滞っている。代理店には撤去義務はなく、覚せい剤を積んでいたことも
知らなかったという。タグボートでの移動費用も負担しているため、市港湾局は
「岸壁使用料の支払いを求めるのは難しい」と判断。船体が売却されて国外へ運ばれ、
船主の関係者が代金を受け取ったら請求する方針だ。
市港湾局は「田野浦8号岸壁を長期間占有しているため、この岸壁での停泊を希望した船が
門司港への寄港を断念したケースもあるようだ。さびついた船が岸壁に居座っていることも、
港のイメージを悪化させている」と苦り切っている。
ソース:読売新聞 (2009年11月7日)
http://kyushu.yomiuri.co.jp/news/national/20091107-OYS1T00679.htm 岸壁で1年間放置されている貨物船「UNIVERSAL」号(北九州市門司区で)
http://kyushu.yomiuri.co.jp/photo/20091107-827747-1-L.jpg 日本人ブローカーが昨年末に覚せい剤数百キロ密輸 暴力団に流通か
北九州市の門司港で今年11月、覚醒剤約300キロ(末端価格約200億円)が押収された事件で逮捕、
起訴された日本人ブローカーが密輸に関与したとみられ、両県警は総密輸量1000キロ
(同600億円)近くに上る過去最大規模の密売組織の全容解明を目指す。
調べでは、ブローカーは中国在住の会社役員、嶋田徳龍被告(40)=覚せい剤取締法違反罪で起訴。
両県警は、嶋田被告が中国マフィアと関東方面の暴力団の仲介役とみて、
麻薬特例法違反(業としての不法輸入)罪適用を視野に、密輸に関わった貨物船の特定などを進めている。
嶋田被告はインドネシア人船員らと共謀し、中国を出港した貨物船に覚醒剤約300キロを積み、
11月11日午前2時すぎ、門司港の岸壁で一部を密輸したとして逮捕、起訴された。
嶋田被告は中国残留孤児の孫で、約15年前に来日して帰化。兵庫県警によると、
都内に家を構えながら2、3カ月間、中国に渡った後1週間ほど帰国し、
九州のほか関東などの港を車で回るという不審な行動を繰り返していた。
ソース:MSN産経ニュース 2008.12.19 13:53 (一部抜粋)
http://sankei.jp.msn.com/affairs/crime/081219/crm0812191354013-n1.htm