【ソウル=前田泰広】韓国国会は28日、鄭雲燦(チョンウンチャン)前ソウル
大総長を新首相とする人事に賛成多数で同意した。鄭氏は李明博(イミョンバク)
大統領の決裁を経て29日にも首相に就任する。
李大統領は「庶民の味方」のイメージがある鄭氏を首相に配することで、国民
の幅広い支持を獲得し、安定した政権運営を目指す。
鄭氏は盧武鉉(ノムヒョン)前政権時に計画された首都機能移転を「非効率」と
して見直す考えを示し、最大野党の民主党から批判を受けた。不動産取引に関
連した税金の申告漏れなども問題視されたが、与党ハンナラ党が支持した。反
発した野党議員は国会の採決を欠席した。
李政権は昨年春、米国産牛肉の輸入再開問題をめぐって批判を呼び、支持率は
一時、10%台まで低下したが、最近は、韓国経済をいち早く回復軌道に導い
たことなどが評価され、40%を超えるまで支持率が回復している。
李大統領は世論の追い風を確かなものとするため、政権発足当初から李大統領
を支えた韓昇洙(ハンスンス)首相の交代や、6人を新たに閣僚に起用する内閣
改造を断行。首相には、国内随一の経済学者として知られる鄭氏に白羽の矢を
立てた。
鄭氏は左派勢力から一時、大統領候補として取りざたされ、李政権が足場とす
る保守とは距離があった。李大統領は鄭氏に、韓国に根強く残る理念対立の解
消も託したとみられる。
次期大統領候補として有力視されるハンナラ党の朴槿恵(パククンヘ)元代表に
対抗できる人材を育成し、朴元代表の「独走」をけん制する狙いがあるとの分析もある。
http://www.yomiuri.co.jp/world/news/20090928-OYT1T00930.htm?from=navr