「義援金の8割が政府収入に」?四川大地震、大学調査で波紋
約8万7千人の死者・行方不明者を出した昨年5月の四川大地震で、
中国史上最高額といわれる約767億元(約1兆600億円、中国民政省統計)の義援金が国内外から集まった。
しかし、この大金が誰によってどう使われたのか、当局による説明はほとんどない。
大学の研究チームが最近、「義援金の約8割が政府の臨時収入となった」との調査結果を
発表したことが波紋を広げており、「強盗に遭った気分だ」などと反発する市民も少なくない。
「南京市のホームレスが手持ちの小銭をすべて街頭の募金箱に入れた」
「河南省の老教師が長年ためた金を赤十字の口座に振り込んだ」。
地震直後、こうした美談が連日メディアに報じられ、多くの人を感動させた。
中国各地では募金活動が盛んとなり、義援金を送るために長蛇の列ができる銀行もあった。
しかし、募金を受け付けた公的、民間機関はその後、使い道についての説明をほとんどしておらず、
寄付をした人々の多くは自分のお金が実際に被災者に使われたのかに疑問を抱いているという。
清華大学NGO研究所の研究チームは半年以上をかけて、義援金の行方を追跡し、
「総額の8割以上が中央や各地政府の財政に組み込まれた」との調査結論を発表した。
各地政府が直接集めた寄付金がそのまま政府の“臨時収入”となったほか、
中国赤十字、中国慈善会などの公益民間団体が集めた金も、大部分が政府に流れたという。
「震災復興支援金」との名目で各地の予算に組み込まれているケースもあるが、実際の使途は不透明だという。
研究チームリーダーの●国栄・同大学助教授は、「震災支援で義援金を使う場合、
政府では民間団体と比べて効率が悪く効果も少ないのは明らか。欧米社会では政府が
予算を拠出し民間の公益団体の活動を支えているのに、中国では逆になっている」と、政府の義援金の使い方を批判した。
調査によると、地震直後に約300以上のボランティア団体が被災者の支援活動に参加したが、
資金不足のため今はほとんどなくなった。わずかに残った団体は、いずれも深刻な資金難に陥っているという。
調査結果について民政省の高官は、中国メディアの取材に対し「政府が使う寄付金の割合を統計していない」と反論する一方、
「民間団体の社会的信用が低いため、義援金を政府が使っている」と“疑惑”をほぼ認めた。
政府の言い分にネットには、「政府は民間団体よりもっと信用が低い、事前に知っていたら寄付しなかった」
「被災者に出した金が汚職官僚の懐に流れたと思うと悲しい」といった書き込みが殺到している。
http://sankei.jp.msn.com/world/china/090813/chn0908132021008-n1.htm