オバマ米大統領は6日、モスクワを初めて公式訪問し、メドベージェフ大統領、プーチン首相らロシア
首脳と、戦略核弾頭の上限設定など、第1次戦略兵器削減条約(START1)に代わる新たな
核軍縮の枠組み作りで進展を図る。ロシア政府高官は3日、核弾頭の上限を「1700発以下」とする
覚書が調印される見通しを表明するなど、米露両核大国は、北朝鮮、イランへの核拡散抑制も視野
に交渉に臨む。
米露首脳会談は、4月にロンドンで行われて以来3カ月ぶり。今年末で期限の切れるSTART1の
後継条約について米露は年内合意を目指す。今回のモスクワ会談は、条約交渉の枠組みで具体的
な進展を図り、ブッシュ前政権時代に後退した米露関係を仕切り直す上での試金石ともなる。
新たな核軍縮条約は、2002年5月に米露が調印した「モスクワ条約」を踏まえて交渉が進められて
いる。同条約は、当時先行き不透明に陥っていたSTART1のプロセスに代わり、戦略核弾頭の配備
総数を「2200〜1700発」とする一方、弾道ミサイル、爆撃機など運搬手段の規制は見送られて
いた。
核弾頭の新たな上限について、ワシントンでは「1500発」程度とする見方が強い。マクフォール米
国家安全保障会議(NSC)ロシア・ユーラシア上級部長は1日、目標数への言及を「時期尚早」と
しながらも、モスクワ条約の目標値を下回ると指摘。さらに、運搬手段の制限も、新条約盛り込む方針
を示した。
インタファクス通信によれば、ロシアのプリホチコ大統領補佐官は3日、米露首脳が核弾頭の上限を
「1700発以下」に制限する内容の共同文書を交換する見通しを明らかにした。
さらに、両首脳は(1)軍需品を含むアフガニスタン向け米軍物資のロシア領通過の容認(2)グルジア
紛争で凍結された軍事交流の再開(3)原子力平和利用に関する協力−なども、協定や共同声明
の形で示されるとしている。
米側は、核弾頭の上限目標など、個別の内容には確認を避けている。しかし、オバマ大統領は2日、
AP通信とのインタビューで、「古い冷戦当時の取り組み方で、米露関係に臨むことは時代遅れだ」と
述べ、会談で「重要な成果が得られると思う」と強い期待を表明した。また、北朝鮮、イランの核開発
阻止に向けたロシアの役割も評価した。
http://sankei.jp.msn.com/world/america/090703/amr0907032313009-n1.htm http://sankei.jp.msn.com/world/america/090703/amr0907032313009-n2.htm