6月初めのソウル中部警察署サイバー捜査隊事務所。 開いた扉の隙間から調査を受けている一人の
男性が見えた。 耳が隠れるほど長い髪に濃い緑のシャツを着て、 しわの多いベージュ色の綿パンをはいて
いた。 座った姿が窮屈に感じるほど体格は大きかったが、肩はすぼめたままだった。
「誰ですか」という記者の質問に刑事はささやくように答えた。 「ハッカー。 個人情報を400万件も盗んだ」。
「400万件も?」
「そうだ、でも少し変わっている。 金のためではなく…引きこもりのようだ」。警察が首を振るほど変わった
人間。 記者は事件の内幕を知りたかった。
警察に逮捕されたキム容疑者(34)の容疑は情報通信網法違反。 05年以降、旅行会社・大学・
証券会社など約1000件のサイトをハッキングし、個人情報を盗み出した疑いだ。 特別なハッキング
プログラムは使っていない。 キム容疑者は警察で「インターネットの検索欄に住民登録番号の後ろの番号
を入力する方法でハッキングした」と供述した。 住民番号共有サイトで得た番号を入力しながら管理が
徹底されていないサイトを探し出し、重点的に狙ったということだ。
現場確認のためソウル東大門区(トンデムング)の彼の自宅へ行った警察は驚いた。 キム容疑者の
部屋に鍵がかかっていたからだ。 親は「私たちも10年以上、息子の部屋に入ったことがない」と話した。
キム容疑者から鍵を受け取って入った部屋はごみ収集場のようだったという。 7平方メートル(約2坪)の
部屋にはあるゆる種類の菓子の包装紙が積もり、足を踏み入れるところもなかった。 部屋の隅にはビール
の空ペットボトル200本が装飾品のように並べられていた。 警察は部屋にあったコンピューター2台とハード
ディスク2つを押収した。 コンピューターからはキム容疑者が流出した個人情報数百万件が入ったファイル
が出てきた。
キム容疑者の親はその光景を見ながらも黙っていた。 警察に「息子が内省的で友人とはほとんど付き
合いがなく、家に閉じこもっていた」と平然と話したという。 キム容疑者はソウルにある中間レベルの大学の
物理学科に進学したが、すぐに中退した。 就職のため1−2回ほど願書を出したが、面接で落ちた。
その後は社会生活をあきらめ、部屋に閉じこもっていたという。 結婚もしなかった。 唯一の収入は親から
1カ月に一度受ける小遣い15万ウォン(約1万2000円)。 親は「PCルームに行くときと2週間に一度
洗濯物を出すとき以外は顔も見ない」とし「食事の代わりに菓子をたくさん食べ、家族が一緒に食事を
することはほとんどない」と話した。
キム容疑者のハッキング目的はお金でなかった。 警察はキム容疑者の口座を調べたが、外部と金を
やり取りした痕跡はなかった。 本人も「ただ好奇心からしたこと」とし「該当サイトにセキュリティーが脆弱で
あることを警告しようとした」と語った。
実際キム容疑者はセキュリティーが不完全なサイトがあれば管理者に連絡してこれを警告していた。
その後も改善されなければ、加入者に電話をしてその事実を知らせた。 キム容疑者が捕まった理由も
こうした警告電話のためだった。 キム容疑者は最近、ある旅行会社の加入者に「そのサイトはハッキング
された」という電話をかけ、旅行会社の捜査依頼で自宅近くのPCルームで捕まった。
キム容疑者は本当に引きこもりなのか。 神経精神科専門医のヨ・インジュン博士は「家の中だけで
過ごし、友人がいないという点を見ればそうだが、反社会的な犯行をしたという点で特異なケース」と
述べた。 引きこもりの場合、大半が一般の人に比べて相手への配慮があり道徳的だという。
専門家は就職難と核家族化で国内にも引きこもりが増えていると憂慮を表した。 日本では20−30歳
代の引きこもりが1990年代半ばから社会問題に浮上した。 延世(ヨンセ)大社会学科のキム・ホギ教授
は「競争が激しく個人の自由を抑圧する社会であるほど引きこもりが増える」とし「社会に復帰できる教育
プログラムと疎外された人を包容する社会文化が必要だ」と指摘した。
http://japanese.joins.com/article/article.php?aid=117384 【韓国】国内のニートが100万人超える…青年失業者の3.4倍[06/26]
http://takeshima.2ch.net/test/read.cgi/news4plus/1245973004/