最終18番ホールのティーショット直前、申智愛(シン・ジエ)はボールにサインをして大会ボランティアらに
手渡した。勝敗の行方はすでに決まっていたため、余裕を見せたのだ。申智愛は29日(韓国時間)、米国
ニューヨーク州のローカストヒルCC(パー72)で行われたウェグマンスLPGAで優勝した。今シーズン2勝目。
申智愛は最終4ラウンドで1打スコアを伸ばし、最終17アンダー271打で台湾のヤニ・ツェンら2位グループ
(10アンダー)に7打差をつけて圧勝した。優勝賞金30万ドル(約2880万円)を手にした申智愛は、米女子
プロゴルフ協会(LPGA)ツアーでは今シーズン通算で100万1139ドル(約9620万円)を獲得し、現時点
での賞金ランキングトップとなった。
大会終了後に申智愛が現地記者に語った優勝の要因は、「パットが非常に良くなった」ということだった。
申智愛は4ラウンドで106のパットを行い、1ラウンド当たりの平均ではわずか26.5だった。これまでの大会
では平均29.53だったのに比べると、1ラウンドで3打も少なくなったことになる。申智愛の父親シン・ジェソプ
さんもマネージメント会社を通じ、「全体的にショットの感覚が向上したが、とりわけパットが非常に良く
なった」とコメントしている。
申智愛は4月のクラフト・ナビスコ・チャンピオンシップ以来、5大会連続で10位圏内に入れなかった不振の
原因がパットにあると見抜いた。対策に悩んだ末に、6月初めに援軍を迎え入れた。自身のキャディーで
オーストラリア出身のディーン・ハーデン氏の紹介で、キャサリン・ハル(オーストラリア)の指導を行うコーチを
紹介してもらい、レッスンを受けた。父親のシンさんは申智愛のファンサイトで「このコーチが言うには、パット
の際に頭を固定しすぎることに神経を使いすぎると、体が固まってしまうことがあるようだ。頭ではなく腹の
みぞおちのあたりで重心を取るようアドバイスしてくれたが、これが非常に効果的だった」と話している。体が
ゆらぐことさえなければ、頭が少しくらい動いたとしても、逆にしっかりと重心を取ることができるということだ。
パットが決まり始めたことで、申智愛は2週間前のマクドナルドLPGAチャンピオンシップでは3位と健闘し、
今大会では一気に優勝した。申智愛は「パットで何かが大きく変わったわけではないが、非常に自信が
ついた。周りからはパットが良くなったという話をよく聞くし、その結果が成績として表れた」とコメントした。
今大会で申智愛は2メートルから3メートルのパットをすべて沈め、これがスコアを伸ばすきっかけとなった。
それが可能になったのは何度も練習を繰り返したからだ。タイガー・ウッズは毎日1メートルのパットを100回
成功しなければ練習が終わらないという話を聞いた申智愛は2007年初めから、1メートルから1.5メートルの
パットを30回連続で入れるという練習を行った。29回成功しても最後の1回で失敗すれば、最初からやり
直しだ。父親のシンさんは「136回連続して成功したことがある。これが智愛の最高記録だ」と語る。自宅
でも1メートルの鉄で作った物差しの上にボールをのせ、ラインから外れないようストロークを100回繰り返し
て練習した。パットに自信がついたことで、無理なアプローチもしなくなった。申智愛は韓国ではドライバー
ショットの平均飛距離が260ヤード(約238メートル)を超えていたが、米国に進出してからはこれが10ヤード
(約9.14メートル)ほど短くなった。ちなみに今大会では241.8ヤード(約221メートル)だ。その代わりに
ドライバーショットの正確度は87.5%となり、自らのシーズン平均83.4%(ツアー1位)を上回るようになった。
それから得意とする正確なアイアンショットの実力を発揮してグリーンを攻略し続け、その直後にパット練習
の成果を発揮することができたのだ。
http://www.chosunonline.com/news/20090630000018