韓国の親北朝鮮系雑誌「民族21」6月号が金正日(キムジョンイル)総書記の後継者は三男、正雲(ジョンウン)氏(26)
と断定していることが29日、わかった。西側で北朝鮮と最も太いパイプを持つ雑誌が、タブーであるポスト金正日特集を
組むこと自体が異例で、平壌指導部の「お墨付き」か?と関係者の注目を集めている。
表紙には<北の後継者金正雲 “後継指導体制”樹立始まる>の見出し。14ページの大特集は<国内外のさまざまな
ルートを通じて確認した>と前置き、<昨年末に革命2世代の核心である最高指導部が正雲氏を後継者として推戴(すい
たい)、建議し、これを金総書記が受け入れた>と伝える。70年代初め、金総書記が金日成(キムイルソン)主席の後継
に決まった時も、革命1世代の老幹部ら最高指導部の推薦を父が同意した。
「民族21のような友好雑誌が、後継者を断定するとは……。総連系の活動家も多く読むので、影響は大きい」。平壌駐在
の経験もある、在日本朝鮮人総連合会(朝鮮総連)の機関紙「朝鮮新報」の元記者も驚く。「民族21」は01年、前年の初
の南北首脳会談を受けて創刊された。著名な歴史学者、姜萬吉(カンマンギル)氏らが顧問で、北を包容する太陽政策を
支持する人々に読まれている。記者を平壌に派遣して現地ルポも掲載、北当局から厚遇を受けているのは明らかだ。
特集は前回の世襲時との比較など背景説明に誌面を費やし、正雲氏の経歴は<ベールに包まれている>と記すのみ。
後継者と断じた根拠は乏しい。ミサイル発射と2度目の地下核実験で世界を恫喝(どうかつ)、国内では「150日戦闘」で
経済再建を図る北朝鮮。慶応大学専任講師の礒崎敦仁さん(北朝鮮政治)は「いずれも後継者の実績作りともからんで
いる可能性があり、『民族21』の特集は大いに注目される。研究、検討すべきだ」と話す。
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