【産経抄】「心臓に毛が生えたような人柄で、自殺するなんて信じられない」盧武鉉氏を知る記者[05/24]

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1戸締りφ ★
 このところなぜか土曜日に大きなニュースが飛び込んでくる。政府が「北朝鮮が飛翔(ひしょう)
体を発射」と早とちりしたのも、新型インフルエンザの国内初感染が確認されたのも、民主党
代表選が行われたのも土曜日だった。そしてきのうは韓国の盧武鉉前大統領が岩壁から飛び
降りた。

 ▼前大統領を取材した経験のある記者に聞くと「心臓に毛が生えたような人柄で、自殺する
なんて信じられない」という。そんな人物が「余生も他人の荷物となる」と遺書を残すのだから
人間という生き物は繊細で複雑にできている。

 ▼在任中は、国内の不満をそらそうとしてか、過去の謝罪と賠償を要求するなど北朝鮮に
優しく日本に厳しい大統領だったが、死者に鞭(むち)打つのは小欄の好むところではない。
謹んでご冥福をお祈りしたい。

 ▼日本で首相経験者が自殺したのは、A級戦犯に指定され、収監直前に服毒死した近衛
文麿元首相以来、60年以上いない。しかし、11年連続で自殺者が年間3万人を超えているのは
尋常ではない。NHK朝の連続ドラマで人気になった埼玉県川越市の人口が10年でゼロに
なる計算だ。

 ▼政府もようやく対策に本腰を入れだしたが、不況による生活苦という目に見える原因だけでなく、
心の問題と密接にからんでいるだけに難しい課題だ。それでもすぐにできる対策がある。飛び
込み自殺を人身事故と言い換えるのをやめることだ。

 ▼「人身事故のため遅れます」という駅のアナウンスや表示にわれわれはすっかり不感症に
なっている。「飛び込みで…」とはっきり知らせることで、悲惨な鉄道自殺が頻繁に起こっている
ことが明確にわかり、身近な問題としてとらえる人が増えるのではないか。第一、自殺は断じて
事故ではないはずだ。

http://sankei.jp.msn.com/politics/situation/090524/stt0905240315000-n1.htm