【国際問題・Hebei Spirit号事件】韓国法廷の判決に対する海運業界の失望★5[04/24]

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805地球の裏側 ◆/lYVcP7um2
ふむ、予想通りですね。
これは間違いなく、沿岸の汚染被害者への補償をタンカー側に押し付けるための
判決と言えますね。

タンカー側の避航義務について述べていますが、韓国の海上交通安全法が72年
国際条約に準拠(日本の海上衝突予防法は準拠)しているとすれば、この大法院
判決には重大な法適用の誤りがあります。
この判決では「避航義務」について述べていますが、「避航義務」は航行中の
船舶に対して課せられるものであって、停泊、錨泊、乗り上げ、などの状態に
ある船舶には適用されません。航行中の定義は
http://www.houko.com/00/01/S52/062.HTM#s2
これの第3条に定義されています。

つまりこの判決では、埠頭に停泊している船であっても、今回のような事故が
発生した場合、回避責任を問われる事になります。一般に錨泊の状態は埠頭に
停泊している事と同等であって、形象物および灯火の表示により示されるもの
です。一方、バージは曳航索切断後であっても、運転不自由船の状態であり、
航行中には変わり有りません。
つまり、法を適用する対象として、衝突に対する回避義務は錨泊の船舶に対し
ては「課せられていません。」

ただし、錨泊であっても、衝突を回避できる状況に有るにもかかわらず、それ
を敢えて回避しなければ、当然ながら「不文律」に照らして、相応の責任は
問われますが、CGを見れば判りますが、バージ通過時、タンカーは錨鎖を延ば
して、衝突の危険を回避しています。一般的に自船から遠ざかる針路を取る船
に衝突の危険は発生しません。CGの状況では、レーダーに付随するARPAと呼ば
れる、衝突回避機能によるアラーム(設定アラームではありません)は発生し
ません。つまりIMO自体が、今回のCGのような状況では衝突は発生しないと規定
しているという事です。

続く