FOXCONN(フォックスコン=鴻海精密)は昨年、本格的なノート PC 受託生産事業への 進出を開始した。同社は最近になってノート PC 開発部隊の統合を進め、本格的に 事業拡大に乗り出した。
フォックスコンのスポークスマン丁安氏は、「ノート PC 受託生産市場への進出は当社の 事業拡大戦略の一つであり、大手顧客からの受注獲得に狙いを定めている」と表明している。
ゴールドマンサックス証券アナリストの金文衝氏は、「フォックスコンの第2四半期は、 Apple 向けノート PC 生産が大きく拡大するだろう」と指摘している。情報によれば Apple は小型ノート PC「Netbook」市場への参入が噂されており、フォックスコンが 同製品の受注を獲得する可能性が非常に高いと見られている。
ノート PC の受託生産産業は台湾における最大の産業の一つである。フォックスコンは 最終アッセンブリーのほか、関連部品であるケース、コネクタ、各種機構部品などの 重要部品を自社グループ内で生産しており、他の大手 ODM 企業と比較して極めて 大きな優位性を持っている。
フォックスコンは数多くのノート PC 関連部品を、大手 ODM 企業であるクアンタ (Quanta Computer=広達電脳)やコンパル(Compal Electronics=仁宝電脳)へ 納入していることもあり、これまではノート PC 生産への本格的な進出を控えてきた。
しかし昨年、フォックスコンはさらなる成長に向け、正式にノート PC 産業への進出を 表明、各社に大きな衝撃が走ったのは言うまでもない。
これまで、フォックスコンによるノート PC 受注は、何れも顧客部門により行われてきた。 しかし今年になって同社は各部門に散らばっていたノート PC 関連人材を統合し、 台湾の内湖に集結させている。これは統合によって開発体制をより効率的に高める 為の施策である。
郭台銘氏は先週行われた株主総会の席上、「当社はノート PC あるいは Netbook 製品領域における垂直統合度合いが深く、さらに研究開発部門への大量な資源 投入によって非常に高い競争力を持っている。今年の不況下においても研究開発への 投資をゆるめることはない。台湾は今後、ハイテク先端技術の研究開発拠点となる、 ノート PC の研究開発拠点も台湾に設置する」と語っている。
その他、同社は中国で益々市場拡大を続ける「クローン PC」市場への参入が噂されて いるが、同社スポークスマンの丁祈安氏は、「現段階で重要なことは、トップクラスのノート PC メーカーから受注を獲得することであり、当面クローン PC 市場への参入は無い」と 表明している。
しかし関連部品メーカーの関係者は、「フォックスコンが通信キャリア等から Netbook 製品の受注を受けるようであれば、クローンノート PC 市場への参入も否定できない だろう」と語るように、同社はあらゆる領域への事業拡大の可能性を秘めている。