【韓国】 元寇モデルの誕生―「金正日後」の日韓〜鈴置高史「アジアが変える日本」[03/09]

このエントリーをはてなブックマークに追加
1蚯蚓φ ★

 中国の台頭とともに日本人の韓国観が微妙に変わり始めた。朝鮮半島専門家の一部は「韓国は中
国に身を寄せ、日本に敵対的になるだろう。距離を置くべきだ」と警戒する。一方で「そうならな
いように韓国を味方につけておく必要がある」との反論もある。こうした議論は、今は理念論争に
見える。だが、いずれ現実の選択肢となるだろう。ことに、北朝鮮が揺らぎ、半島の構図が激変す
る際には。

◆統一韓国の立ち位置
(中略)
 韓国の知識人に日本人の内輪話を明かし「統一韓国はどう出るか」と聞くとほとんどの人が「経
済的には中国に寄っても、安全保障面では米国の核の傘の下に居続ける」と答える。中韓両国の歴
史を考えれば、本当に韓国がそうできるかは分からない。ただ、中国への恐れが強まり、しかしま
だ、国境を接していない現時点での「希望」はそうなのだろう。

◆日中両てんびん
 半面、対日姿勢に関しては韓国人の答えは分かれる。「強大化する中国に対し韓国は日本とともに
対抗すべきだと考える」という人もいる。逆に、「日中韓の三国関係に絞れば、外交的には日本より
中国に近くなるだろう」と答える人もいる。韓国人にとって「日本とともに中国に対抗する」とい
う構想以上に、「中国の権威を借りて日本を見返す」という夢は、より安心感があり、また、心踊る
ものなのだろう。実際、韓国の大統領が、公開の席で紳士は使わない言葉を使って日本をののしっ
たのは、中国の威を背にした時だった。

 1995年11月14日、金泳三大統領(当時)は歴史問題に関連し「今度こそ、悪ガキ(注)の性
根を必ず叩き直す」と記者会見で語った。江沢民主席(同)が中国の国家元首として韓国を初訪問
し同大統領と会談した直後のことで、発言時には、すぐ横に江沢民主席が立っていた。ただ、「中国
に寄る」という答えには「日中を天秤にかけ双方から利益を得よう」という意図からの回答も含ま
れるので、日本人の前ではそう答え、中国人の前では反対を答えている人もいるだろう。

 例えば、通貨危機から脱出するためのスワップ協定に関連し、韓国の識者の一部は「『中国が韓国
への影響力を強める』という日本の警戒感を利用すれば、日本からもカネを出させることができる」
と主張したことがある。韓国の識者の中には「韓国が政治的に中国の影響力をより受けるようにな
れば、中国への反発から心情的には日本に寄るだろう」と予測する人もいる。韓国人の心情は複雑だ。
(続きは>>2-5のあたり)

(注)金泳三元大統領は「ポルジャンモリ」という言葉を使った。目上の人間が目下の人間を罵倒
する際に使う言葉で、韓国語に比べ罵倒語の語彙の少ない日本語には完全に同じニュアンスの単語
はない。

ソース:<元寇モデルの誕生――「金正日後」の日韓(2009/3/9)>詳細はリンク先参照
http://www.nikkei.co.jp/neteye5/suzuoki/index.html