【毎日新聞】社説:日中韓首脳会議 東アジアの軸がやっと動いた[12/15]

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1スカイキッドφ ★
 日本、中国、韓国の首脳が福岡県太宰府市に集まり、3カ国協力の促進をうたった共同声明を発表した。
3首脳はこの会議を定例化することでも合意し、次回会議を来年中国で開催することを決めた。

 日中韓の3首脳が独立した形で一堂に会したのは初めてである。

互いに隣国同士でありながら、これまでこうした会議を開けなかったのがむしろ不自然だった。

体制の違いや、領土問題、歴史認識問題という障害を乗り越え、3首脳会議が東アジアの安定装置の軸として機能していくことを期待したい。

 日中韓の首脳会議は1999年の東南アジア諸国連合(ASEAN)の会議の際に当時の小渕恵三首相と中国の朱鎔基首相、
韓国の金大中大統領が朝食会の形で開催して以来、05年を除いて毎年行われてきた。今回が9回目だが、国際会議と切り離しての開催は初めてとなった。

 麻生太郎首相、温家宝・中国首相、李明博(イミョンバク)・韓国大統領の3首脳が署名した「3国間パートナーシップに関する共同声明」は、
「地域および国際社会の平和・繁栄、持続可能な未来を創造するためのビジョンと責任を共有している」との認識を表明した。
その責任を果たすために3カ国が目下直面している喫緊の課題が世界的な金融危機への対処と北朝鮮の核問題への対応である。

 金融危機への対応では、3首脳は地域協力を強化することを確認するとともに、ウォン安に苦しむ韓国を支援するため
日中韓の2国間通貨交換(スワップ)協定の資金の融通枠を拡大することで3カ国政府が合意したことを歓迎した。

 日中韓3カ国の国内総生産(GDP)の総計は世界全体の16%を超え、東アジア全体の7割にものぼる。
この経済力の大きさを踏まえれば日中韓の金融当局間の連携強化は不可欠である。3カ国の中央銀行総裁による定期会合が開始されることになったことを評価したい。

 北朝鮮の核問題をめぐる6カ国協議は成果を出せずに終わったが、この問題でも3首脳は今後の連携を確認した。
暗礁に乗り上げた6カ国協議を打開するためにはこれまで以上に日米韓の協調と議長国・中国のリーダーシップが必要になる。
今回首脳同士が合意した3カ国協力を対北朝鮮政策で生かしてほしい。

 日中間では、中国製冷凍ギョーザによる中毒事件がまだ解明されていない。加えて、今月には中国の調査船が尖閣諸島沖の日本領海に侵入する事件も起きた。

 内閣府の世論調査で日中関係を良好と思わない人が7割を超え過去最高になったことはこれらと無関係ではないだろう。

定例化される3首脳会議は、2国間のこうした問題についても首脳同士が率直に話し合える舞台になるはずである。

ソース:毎日新聞
http://mainichi.jp/select/opinion/editorial/news/20081214k0000m070098000c.html

参考:毎日新聞の素晴らしいコラム群

近事片々:日中韓首脳会議
http://mainichi.jp/select/opinion/kinji/news/20081213k0000e070050000c.html
近事片々:今年の漢字
http://mainichi.jp/select/opinion/kinji/news/20081212k0000e070060000c.html
牧太郎の大きな声では言えないが…:たらたら書かないゾ!
http://mainichi.jp/select/opinion/maki/news/20081202dde012070080000c.html