【北朝鮮】「金正日は拉致認めれば日本が100億ドル出すと信じていた」…北工作機関の元幹部証言[12/12]

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日本人拉致問題をテーマに、東京都内で12日に開かれたシンポジウム「北朝鮮の現状と拉致被害者の救出」
(家族会、救う会、拉致議連主催)に、北朝鮮の朝鮮労働党の対南工作機関「統一戦線部」出身で現在、韓国の
情報機関、国家情報院傘下の研究機関で北朝鮮分析を担当する張哲賢氏が参加した。張氏は、金正日総書記
が日本人拉致を認めた「理由」や金正日体制の政策決定のシステムなどについて証言。「韓国も日本も金正日
独裁体制について誤解がある」と述べた。(久保田るり子)

張哲賢氏は2004年に第3国経由で韓国に亡命した。現在、韓国には約1万5000人の脱北者がいるが、統一
戦線部出身者は極めて少なく、「権力中枢の証言をできる数人のうちの1人」(洪榮・元駐日韓国公使)という。

張氏によれば、金正日総書記が日本人拉致を認めた2002(平成14)年、小泉純一郎首相(当時)と金総書記
の首脳会談直後、統一戦線部幹部用に配布された講演資料には《日本の小泉政権は拉致を認めれば、北朝鮮
に100億ドルを支払う》と書かれていたという。張氏は「拉致被害者の引き渡しではなく拉致を認めるだけで、日本
統治などの補償金として100億ドルが支払われると聞いた」とも述べた。

資料がどんな経緯で作成されたかは確認できないが、北朝鮮側は「拉致認定」に巨額の経済的な見返りを見込
んでいたものとみられる。また、北朝鮮の対日外交窓口の実態も明らかにした。1990年に訪朝、故金日成主席
と会談した故金丸信・元自民党副総裁などの窓口となったのが、(アジア太平洋平和委員会委員長の)故金容淳
書記だったが、この委員会は統一戦線部の隠れ箕だと暴露した。

「アジア太平洋平和委員会は幽霊組織で実体は何もない。統一戦線部の政策課の別名」という。「北朝鮮は対日、
対南政策で平和用にアジア太平洋平和委員会を使い、緊張用に軍部を前面に出す」と述べた。

亡命4年の張氏は「韓国には実際にある北朝鮮と韓国人の学者が作った北朝鮮の2種類があった。私は実際の
北朝鮮についてお話する」と前置きして、金正日体制の実体を次のように解説した。

「金正日独裁の権力には特徴がある。1つはサイン(署名)統治だ。北のすべての人事や活動は組織指導部に提
議書としてあげられ、批准を受けなければならず、金正日のサインがすべての権力を握っている。第2には主要
部署の部長(大臣に相当)はすべて空席だ。組織指導部、宣伝扇動部、統一戦線事業部、党軍事部、国家保衛部
などだ。これらの核心部署は金正日が部長を兼任、権力を統制、掌握している。韓国や日本では《北朝鮮の穏健
派と強硬派が対立している》などの報道があるが、ありえない。北朝鮮は社会主義の形式は取っているが、徹底し
た個人独裁で争うことは絶対にできない」

張氏は金正日総書記の側近中の側近に、李済剛・党中央委員会組織指導部第1副部長(組織担当)、李勇哲・同
第1副部長(軍事担当)、張成沢・同第1副部長(行政担当)の3人を挙げた。張氏は金正日総書記の義弟だ。金正日
総書記の病状については「確かなところはわからない」と述べるにとどまった。

その上で、「金日成体制と金正日体制の最大の違いは金日成が死去したときにはすでに金正日の独裁が始まって
いた。金正日が死去してもそうした後継体制はない。権力の空白が生じるだろう」との見通しを語った。

シンポジウム会場で横田早紀江さんと面会した張哲賢氏は「めぐみのお母さんにはじめてお会いしたが、慰めの言葉
もおかけすることができなかった。私は申し訳なく思った。私に罪があるとすれば拉致国家に生まれたことだと思う。
お母さんの悲しみをみるにつけ、金正日独裁は北朝鮮の人民だけでなく海外の人々もこのように苦しめているのだと
いうことを、もう一度考えさせられ憎しみを覚えた」とも語っていた。

http://sankei.jp.msn.com/world/korea/081212/kor0812122037002-n1.htm
http://sankei.jp.msn.com/world/korea/081212/kor0812122037002-n2.htm
MSN産経ニュース