【韓国経済】人民元を決済通貨に? IMFへの恐怖 年率40%のウォン安 外貨準備に疑い IMFへの恐怖[12/12]

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4戸締りφ ★
「短期外債の半分は中国人が保有」
 10月16日付のソウル新聞や東亜日報に、地味だが人目を引く記事が載った。いずれも「韓国の
短期の対外債務の半分を中国人が持っている」という趣旨の見出しだ。
 記事をよく読むと、厳密には「中国人が保有する」のではない。2007年末時点で、中国・香港・
シンガポールという「中国系3市場」で調達された短期外債が全体の49.6%を占める――という
内容だ。2005年末時点では24.0%に過ぎなかったから「中国系3市場」の占める位置は倍増した。
半面、米国市場と日本市場ではそれぞれ3分の2程度に減り、比率はひと桁に落ちている
(グラフ参照)。
 では、「中国系3市場」は「中国の投資家」と見なしていいのだろうか。日本と中国の金融専門家
に聞くと、同じ答えが返ってきた。
 「3市場すべてが中国人ではないにしろ、相当部分を中国の組織が買ったのは間違いない。
2年間ほど前から、中国政府は有り余る外貨準備を減らそうと、さまざまな組織に世界の債券を
買わせている。米国債だって2008年9月末には、日本を抜き去って最大の保有国に躍り出た」。
 「低金利の日本円を韓国に持ち込んで運用する『円キャリートレード』は2007年2月の円利上げの
結果、巻き戻しが起き、つまり、円の相当部分が韓国から日本に戻った。韓国政府も円高リスクを
考慮し韓国の金融機関に対し、満期の来た『円キャリー』の借り換えを自粛させた。その間隙に
中国のおカネが入り込んでいる」。

 人民元を決済通貨に?
 ソウル新聞、東亜日報ともに記事の中で「ひとつの国にこれだけカネを借りている危険」を訴えた。
「中国が、返済期限の来た韓国の債務のロールオーバーを拒否したら、わが国の危機を助長する」
(ソウル新聞)という恐怖である。
 ただ、日本の金融の専門家もアジア専門家も「中国がロールオーバーを一斉に拒否することは
まずない」と見る。中国は外貨に困っているわけではないし、首吊りの足を引っ張るようなことをして
韓国の怨みを買うことは避けるだろう、との読みからだ。
 日本の専門家は、もし、この局面で中国が何か仕掛けるなら「中国に拒否されまいか」という
韓国人の恐怖感こそを利用する、と見る人が多い。韓国人は今「中国人を怒らせたら金融で報復を
受ける」と感じている。だったら、これまでなら受け入れなかったようなことでも聞き入れるのではない
か――と中国が考えても不思議はない。
 では、中国はどんなことを要求する可能性があるのだろうか。韓国、中国を含む世界の金融に
詳しい愛知淑徳大学の真田幸光教授は言う。
 「中国は『中韓二国間の貿易で決済通貨をドルから人民元に替えよう』と言い出すかもしれない。
中国自身もロシアから、米ドル一極支配体制を崩すべく、両国間の決済をルーブルと人民元に
切り替えようと持ちかけられている」。
 日本から見ると突拍子もない提案に見えるかもしれない。だが、中韓経済関係の急速な深まりを
見ると、さほど不自然でもない。2007年の韓国の対中輸出は全輸出の22.1%を占める。伝統的な
貿易相手国である米国(12.3%)と日本(7.1%)のシェアを合わせても中国には及ばなくなった。
 韓国が米国の同盟国でなければ、人民元経済圏に入ってもおかしくはない。そして、両国の
同盟の絆は少しずつ、しかし着実にほころんでいる( 「韓国の反米気分」=2007年5月9日、 
『後戻り』できない韓国」=2007年11月26日参照)。
 すでに「人民元決済」ほど大胆な案ではないにしろ、「米国市場の縮小が確実になった今こそ、
中日韓FTAの早期結成に動こう」、あるいは「この期に、ドルに支配されないアジア共通通貨を
作ろう」という誘いが中国から韓国や日本に発信されている。
続く
http://www.nikkei.co.jp/neteye5/suzuoki/index.html