http://www.chosunonline.com/article/20081209000023 【コラム】中国支配論、日本支配論(上)
日本の複数の知人から電話をもらったのは10月6日のことだった。
「李明博(イ・ミョンバク)大統領が韓中日金融首脳会談を希望している」というニュースがロイター通信で報じられた直後だった。
彼らから質問されたことをまとめると、「韓国はそんなに切羽詰まっているのか?」ということだった。
周知の通り、この提案は相手国との調整もないまま明らかにされたものだ。
韓国専門家の知人らは、当時の韓国をめぐる最悪のシナリオをよく知っていた。既にインターネット上で、韓国は自国の暗い見通しを
すべて明らかにしていた時期なので、日本が韓国の先行きを明るいとみているはずもなかった。
知人らが教えてくれた日本側の最悪のシナリオの論理的出発点も、韓国と全く同じだった。
韓国の外貨準備高の虚構性、経常収支に対する暗い見通し、対外債務や金融システムのぜい弱性など、すべてを「はす」に
構えて見たシナリオだった。
だが、日本側のシナリオは、初めから結末が明らかだった。「中国の韓国支配論」だ。内容は次の通りだ。
「韓国が危機に陥ったら、韓国を助けられるのは中国だけだ。日本は韓国を助ける余力がない。
中国は韓国が底辺まで落ちた後、手を差し伸べることで韓半島(朝鮮半島)に対する支配力を最大にするだろう」。
今回の危機は、中国による韓国支配の一通過点になるということだ。
こうしたシナリオは、フリージャーナリストの櫻井よしこ氏が「週刊新潮」11月27日号に「韓国の危機、中国が支配確立か」という文を
寄せたことで、日本の知識人コミュニティーにおいても正式な議題に浮上したようだ。
代表的な保守派の論客が、代表的な保守系週刊誌に文を掲載していることから、最悪のシナリオが日本の保守派により
加工・増幅されていることはすぐに察しがつく。
しかも、櫻井氏は「中国をけん制するため、日本政府は韓国を支援すべき」と提案している。
大陸の韓半島への影響力拡大に敏感な日本の保守派の、典型的なアプローチ法だといえよう。
http://www.chosunonline.com/article/20081209000024 【コラム】中国支配論、日本支配論(下)
これまで、韓国側の最悪のシナリオも、「韓国は支配されてしまうかもしれない」というほぼ同じ結末になっていた。
ただし、支配するのは中国ではなく、日本だという点が、日本側のシナリオとは違う。日本が先日、自ら進んで10兆円を国際通貨基金(IMF)に
支援すると表明したことについて、ネット上の討論サイトで有名な「ミネルバ」と名乗る論客が「最も懸念される時期」と指摘、
韓国が年末あるいは来年3月に経済危機を迎え、日本の資本に編入され破たんするかもしれないと主張した後のことだった。
韓国の「日本支配論」は、日本の「中国支配論」と内容は正反対だが、結論の壮大さに比べ、論理的な当為性が大幅に不足しているという点で
そっくりだ。
推測と飛躍で両国国民の敵対心・警戒意識・被害妄想を刺激している点でも似ている。海外資本の支援を支配・被支配関係と
「一緒くた」にした大時代な発想であることも同じだ。
しかし、日本の胸の内をのぞかせる中国支配論には、国益という観点から韓国が活用すべきポイントがある。
根拠のない中国支配論が、韓国支援論に結びついているのは、櫻井氏の主張通りだ。
(日本による植民地支配)解放後の歴史問題で韓国を侮辱してきた日本の保守派が、韓国の危機に白馬の騎士的な役割を自任しているのも、
大陸を警戒しなければならないという共感があるからだ。
その上、妄言の主であれ、極右派であれ、韓国支援のカギを握る麻生太郎首相と中川昭一財務相が、こうした思考を共有する日本の
保守グループであるということも無視できない。
日本と中国の間でうまく立ち回れば、韓国は今後さらに多くの国益を引き出すことができる。
一方、韓国が自ら増幅させている日本支配論は、ひたすら韓国人の空虚な被害者意識に依存していることから、
わたしたちには何の利益ももたらさないだろう。