【米国産牛肉】日本政府の「賢明さ」と韓国政府の「頼りなさ」…朝鮮日報コラム[6/25]

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1敬天愛人φ ★

【コラム】「近所の息子」の真実

 「ご近所さんの息子さんはねえ」というのが韓国の母親たちの口癖だ。韓国では、実力や品
行の面で完璧な近所の息子は日本人のようだ。日本に対する奇妙な競争意識もあって、韓
日比較の論理は誰かを説得する手段として使われることが多い。実際に韓国の短所を補う
だけの長所を日本が兼ね備えているのは間違いない。

 米国産牛肉騒動においても日本はやはり近所の息子役で登場した。生後20カ月以下の米
国産牛肉に限り輸入を認める日本政府の「賢明さ」と韓国政府の「頼りなさ」を比較しながら、
日本は近所の息子としての真価を遺憾なく発揮した。日本で狂牛病の牛が35頭も確認され
ているにもかかわらず、「日本は全頭検査をする」という一言に、確認された狂牛病の牛が3
頭にすぎない米国よりも剛直なイメージが定着している。

 しかし、比較されるほうの息子も悔しい思いでいっぱいだ。ろうそくを手にした人に「黄金律」
と見なされる「生後20カ月以下」は修正が確実な基準だった。日本も米国による全面開放要
求を同様に受けている。韓国が受け入れた全面開放に支障がなければ日本も相当な譲歩
が避けられなかったが、韓国でトラブルが起きた“おかげ”で時間稼ぎができたにすぎない。
近所の息子のほうこそ、米通商代表部(USTR)のシュワブ代表に韓国のキャンドル集会の
写真を差し出す準備に余念がないはずだ。

 2001年から実施してきた全頭検査も事実上終わった。日本政府が「科学的根拠を欠く検査
に無条件で税金を使えない」という論理から、生後20カ月以下の牛を対象とした狂牛病検査
に対する国庫補助を8月から中断するためだ。国産牛に農民生活がかかっている地方自治
体は「自主的に継続する」と相次いで宣言しているが、日本の全頭検査は科学的理由に基づ
くものではなく、安全を宣言するための地方政府の広告塔へと意味が変わっている。

 日本政府は韓国で騒動が起きなかったとしても全面開放は受け入れないはずだ。それは
「国民の健康」のためなのか。韓国政府はまたも近所の息子の生真面目さと比較されるかも
しれない。しかし、隣国の内部事情をよく知る人に「国民の健康」をうんぬんすれば笑われる
だろう。「国民の健康」という理想より、責任を回避しようとする日本の官僚主義がより大きく
働いたことを知っているからだ。

 日本では01年に狂牛病の牛を発見できなかった獣医が自殺する事件が起きた。そうでなく
とも二重三重に責任を分散させるまで決定を下さない日本の官僚が牛肉問題に熱心になり
視線をうかがうのは責任を回避するためだ。官僚が権力のてっぺんまで支配する日本では、
政治的責任を引き受ける存在がいない。韓国も日本のように官僚に支配されていれば、初め
から全面開放は受け入れなかったはずだ。市場開放は政権初期の強い大統領権力が政治
的決断を下したことで決まったものだ。

 もちろんこの決断は明らかな失敗に終わった。官僚主義の慎重さを前面に押し出したほう
がずっとマシだったケースだ。しかし、慎重に視線をうかがう日本に学べとは言えない限界が
韓国にはある。日本は米国と自由貿易協定(FTA)を結ばなくても豊かに暮らせるが、韓国は
そうはいかない。日本は牛肉の代わりに高価な兵器を買えばよいが、韓国はそうはいかない
のだ。よくやったと褒めるつもりもないが、いつまでも批判すべきことでもない。「ウチの息子」
も頑張らねば。

東京=鮮于鉦(ソンウ・ジョン)特派員
http://www.chosunonline.com/article/20080624000055
http://www.chosunonline.com/article/20080624000056