【社説】1日に7人が労災で命を落とす恥ずべき国
昨年1年間で、企業の工場や工事現場で労働災害で死亡した労働者の数は2406人に達した。1日当たり平均7人が
死亡した計算で、労働者1万人当たりの死亡者数は1.92人となる。2004年のデータでは、労働者1万人当たりの死亡者数は
米国0.53人、日本0.3人、英国0.07人だった。つまり韓国で労災により死亡した労働者の数は、英国の27倍にも達することになり、
まさに驚くべきことと言わざるを得ない。労災で負傷した労働者の数も毎年およそ9万人に達する。
労災による死亡者の半分以上に当たる1383人が事故によるものだ。418人は建設工事現場などで起こった墜落事故で、
150人は工場内で機械にまき込まれたり、挟まれたりして死亡した。小鹿島での橋の建設工事現場では昨年7月、鉄筋を
しっかりと組み立てないまま、無理にコンクリートを流し込んだことから橋が崩壊し、5人が死亡した。今年1月には京畿道利川の
冷凍倉庫で、作業員がプロパンガスのすぐ横で溶接を行っていたことからガスに引火して火災が発生し、40人以上が死亡した。
安全の初歩的なルールさえ守っていれば、貴重な人命をこのように失うことはなかっただろう。
労災による死亡者の3分の1以上は非正規職で、半分近くは50歳以上であり、およそ70%は従業員50人未満の中小零細企業で
発生している。大企業は危険で有害な作業を中小の零細企業に安値で発注し、また発注先の中小零細企業は生き残りが精一杯の
状況にあることから、従業員の安全のために資金を投入するだけの財政的・精神的余裕を持ち合わせていないのが実状だ。
労災は当事者や家族にとっては突然の出来事だ。企業としても金銭的な損害だけでなく、社員の士気低下や貴重な人材を
失うというつらいものだ。労災に伴う金銭的な損失は年間16兆2113億ウォン(約1兆6800億円)で、2005年におよそ2兆ウォン
(約2072億円)に達した労使紛争による損失額よりもはるかに多い。日数で計算すると6393万4071日で、労使紛争による労働損失の
日数53万6285日の119倍に達する。
労働部が昨年7月に1082の事業所に対して安全対策の実態を点検したところ、94.8%に当たる1026の事業所が安全管理を
怠っていたという。今や事業主が安全管理のための費用に対し、損失ではなく投資と認識すべき時が来た。社員を単なる部品と
考えて利益ばかりを追い求めるような企業は、長い目で見れば利益も社員も失い、企業の存立さえも危うくなるというのが
経済活動の現場での教訓だ。国民所得のレベルだけで先進国かどうかは分からないように、利益の規模だけで良い企業か
どうかを見分ける時代はすでに過ぎ去ったのだ。
ソース:
http://www.chosunonline.com/article/20080430000006(朝鮮日報)