【北朝鮮問題】シリアとの核協力情報開示、米政権内の確執が背景か ヒル次官補、ブッシュ大統領の支持失う [04/25]

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 【ワシントン=宮崎健雄】米情報当局がこれまで拒んできた、核疑惑施設内の映像など北朝鮮とシリアの
核協力疑惑を裏付ける情報の開示を行ったことにより、ようやく動き出した核申告問題が再び停滞する
恐れが出てきた。内容は公表されておらず、米政府がこの時期に開示を決めた理由は不明だが、
核協力疑惑で妥協しようとする国務省に反発する政権内の強硬派が関与しているとの見方もある。
核申告問題の進展について事前説明が必要と判断した可能性もあるが、内容次第では、
かえっていっそうの実態解明を求める声が強まりそうだ。

 核申告問題をめぐっては、クリストファー・ヒル米国務次官補と北朝鮮の金桂寛外務次官が、
今月8日にシンガポールで行われた会談で、北朝鮮がこれまで否定してきたシリアへの核協力疑惑を含む
核拡散疑惑について、米国の懸念を北朝鮮が認めると書面にすることで暫定合意した。米国内では核申告をめぐり、
ブッシュ政権が玉虫色の表現で妥協しようとしていると批判が高まっている。

 24日付ニューヨーク・タイムズ紙は、政府高官の話として、チェイニー副大統領ら対北朝鮮強硬派が
「情報を公開することで北朝鮮との取引を妨害することを望んでいる」との疑念が国務省内で広がっていると報じている。
同紙によれば、ブッシュ大統領は、北朝鮮との交渉で弱腰と見られることを嫌っており、政権強硬派から
大幅な譲歩をしたと指摘されているヒル国務次官補は、大統領やライス米国務長官の支持を失いつつあるという。

 一方、同日付ワシントン・ポスト紙も、複数の当局者の話として、シリアの核施設内の映像には、
北朝鮮の作業員や北朝鮮の原子炉と酷似した原子炉が映っていたと指摘した。ただ、本格稼動には
至っておらず、ウランなどの核燃料も存在したかったとしており、核協力が本格的なものでなかった
との見方を示している。

 ヒル次官補は一部メディアに「拡散問題の解決は重要だが、より直近の脅威は核兵器に結びつくプルトニウムだ」
と、拡散問題よりプルトニウムに力点を置く考えを示唆している。

 このため、疑惑施設では核協力が過去にあったものの本格稼動の前で、イスラエルによる空爆後は
新たな施設建設の動きもなく、北朝鮮が今後核拡散を行わないと明言していることを説明し、議会などの
理解を求める狙いだとの見方もある。


4月25日付読売新聞14版第7面より、記者がテキスト化しました