「五輪の囚人」 中国活動家、人権訴え「国家転覆扇動罪」
http://www.asahi.com/international/update/0428/TKY200804270171.html ロシア国境に近い黒竜江省チャムスは「中国で最も早く日が昇る都市」として知られる。
ここで生まれ育った元工場労働者が3月、「国家の転覆を扇動した」として懲役5年の判決を受けた。
楊春林氏(52)。アルミ工場を20年前に解雇され、浴場であかすりの仕事をするなどして生計を立てた。
妻(55)は心臓病を患う。長男(17)は専門学校で日本語を学ぶ。
05年12月。医療過誤を訴えた親族と病院側との交渉に立ち会い、「保安員」と称する二十数人の男に暴力をふるわれた。
母親(79)は肋骨(ろっこつ)を折られた。警察は黙殺。楊氏は地元や北京の政府機関に陳情したが、相手にされなかった。
この事件をきっかけに法律を独学する。
そんな楊氏が昨春、「要人権、不要奥運(五輪より人権を)」というスローガンで署名活動を始めた。
北京五輪に巨費を投じるより人権状況を改善してほしい。訴えがインターネットで広がり、署名は1万人を突破。
楊氏は一躍、著名な活動家となった。
7月、公安局が楊氏を自宅から連行した。
それまでに4度、警告されたが、楊氏は聞かなかった。
「国家政権転覆扇動」で逮捕されたと家族が聞いたのは、連行から48日後のことだった。