ロサンゼルスの「リトルトーキョー」には太平洋戦争当時、日系住民たちを不法監禁した収容所施設
が立て直されて展示されている。こちらで生まれたり、移民で来た人々だったが敵性国民と見なされ
て人里離れた地域に集団収容された痛恨の過去が滲んでいる歴史の現場だ。
'父'ブッシュ大統領時代、連邦政府は公式謝罪とともに生存者たちに補償までした。それでもこちら
を訪れるアメリカ人たちは収容所を見て日系に「すまない気持ち」を持つようになる。リトルトーキ
ョー訪問者の中には「感謝」を感じる人々も少なくない。
ある日本人銅像の前で60年以上昔の話を子供たちに聞かせるユダヤ系アメリカ人がいる。この日本人
の名前は杉原千畝。日本版「シンドラーのリスト」の主人公だ。ナチスドイツがポーランドに侵攻し
た時、杉原はリトアニア駐在領事だった。なんとかポーランドを脱出したユダヤ人たちが集まった所
がリトアニアだ。しかし、ドイツ軍がいつ攻め寄せるかも知れず、ここも安全地帯ではなかった。
第三国家に身を避けるためにはビザが必要だったが、杉原夫婦が守っていた日本領事館を除き外国公
館はすでに門を閉めた状態だった。パニック状態に陥ったユダヤ人たちの「頼り」はただ杉原の慈悲
だけ。本国政府の繰り返された警告にもかかわらず杉原はユダヤ人たちにビザを大量に発給した。
このようにして命を拾ったユダヤ人たちは推定2万名を越えた。(中略)イスラエル政府は杉原に「義
人(Righteous Man)」の称号を与えた。ナチスドイツが大虐殺(ホロコースト)をほしいままにする時、
ユダヤ人たちを助けた人々に与える最高の栄誉だ。今年イスラエルと修交60周年を迎える日本は彼の
一代記を映画で制作して大々的に広報する計画だ。題名はシンドラーを真似して「杉原のリスト」に
なるかもしれない。
ヨーロッパと中国でばかり外交官生活をした杉原とアメリカとは全く関係がない。それなのに彼の銅
像がどうしてLAに立てられたのだろうか。もちろん杉原の崇高な人類愛を称えるためだが、アメリカ
の政財界に及ぶユダヤ系の影響力も一部作用したのではないかと思う。収容所施設を展示してアメリ
カ人たちからは「すまない気分」を、杉原の銅像を立ててユダヤ系コミュニティからは「感謝」を…。
一方、思えば自分たちの行った蛮行は不問に付したまま、顔を立てることばかり重点を置くようでや
や苦々しくなる。こんな考えがふとわいたのは20日付け本国紙1面に載せられたドイツ総理のイスラエ
ル議会演説場面のためだ。ホロコーストに対して謝罪する総理の表情は悲しみがにじみ出ていた。去
年、従軍慰安婦決議案が下院に上程された時、日本政府が取った態度とはあまりにも対照的だ。
韓日間に深くうがたれた感情の谷間。杉原の横に日系2世人マイケル・ホンダ議員の銅像を並んで立て
れば、谷間がある程度埋まりはしないか。日本政府と日系コミュニティの反発をものともせずに慰安
婦決議案通過を主導したホンダ議員。彼も言ってみれば「義人」ではないか。
朴ヨンピル論説室長
ソース:コリアデイリー(韓国語)[ウィルショプレース]リトル東京の'ユダヤ人'
http://www.koreadaily.com/asp/article.asp?sv=la&src=opn&cont=opn&typ=1&aid=20080320180117100100