【米中】米艦隊の香港寄港拒否問題〜背景に海洋覇権争い[12/07]

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1Mimirφφ ★
米艦隊の香港寄港拒否問題 背景に海洋覇権争い
2007.12.7 10:20
http://sankei.jp.msn.com/world/china/071207/chn0712071020002-n1.htm
http://sankei.jp.msn.com/world/china/071207/chn0712071020002-n2.htm

 米中の外交、軍事面でのせめぎ合いが再び激化し始めた。中国が11月に空母キティホークをはじめとする米軍艦の
香港寄港を繰り返し拒否したことで、鬱積(うっせき)していた相互不信が一気に表面化した。根底にはアジア太平洋地域に
おける米中の覇権争いがある。中国が神経をとがらせる来春の台湾総統選挙を前に、米中の際どい攻防が熱を帯びつつある。
 11月21日、中国政府はキティホークをはじめとする米艦隊(ほかに護衛艦4隻と潜水艦1隻)の香港寄港を突如拒否した。
8000人余りの乗組員は、航空機で香港入りしていた家族と感謝祭の休日を過ごす計画をつぶされた。
 中国は翌日になって寄港を認めたが、艦隊が香港から400キロも離れた後だった。屈辱的な仕打ちに反発したか、
キティホーク率いる米艦隊は福建省沖の台湾海峡を北上して横須賀に戻った。
 米空母の台湾海峡通過は中国が台湾を武力威嚇した1996年3月の台湾海峡危機以来、11年ぶりのことで、米側の
対中示威行動とみられた。
 入港拒否はこれだけではなかった。米国防総省は11月末、中国が寄港を拒んだ米軍艦は過去1カ月間で3回、9隻に
のぼることを明らかにした。その中には悪天候から避難するため寄港を求めた掃海艇2隻が含まれ、米世論の中国への反感を
増幅した。
 これに対し中国外務省は
(1)米国が11月中旬に台湾へ地対空ミサイル、パトリオット2の改良型3基の売却を発表して台湾の独立派に
(独立を支援するかのような)誤ったシグナルを送った
(2)10月にチベット仏教の最高指導者、ダライ・ラマ14世を招きブッシュ米大統領が会談した
−ことを寄港拒否の理由とした。
 中国は台湾の陳水扁総統が来年3月の総統選にあわせて「台湾名義での国連加盟の是非を問う住民投票」を計画していることを
「独立に向けた重大な動き」と激しく反発。11月上旬に訪中したゲーツ米国防長官にも台湾に先進兵器を売却しないよう
強く求めた。
 しかし米国防総省はゲーツ長官の帰国後、間もなくパトリオット売却を発表して中国の神経を逆なでした。
中国の反発に理由はあるにせよ、悪天候を避けるための寄港すら拒むのは国際ルールに反する度を過ぎた対応だ。
 実はほかにも理由があったとの指摘がある。中国軍の動向に精通する軍事評論家の平可夫氏によると、11月に入って
中国の海・空軍は台湾海峡有事を想定した大規模な軍事演習を南シナ海から華南、華東の海空域で進めており、米艦隊に
間近から偵察されるのを嫌ったため、という。
 米ワシントン・タイムズ紙も、中国海軍の南シナ海での演習を入港拒否の理由と報じている。
 すったもんだの末に米中の国防当局は3日、ワシントンでの定期協議で双方が「寄港拒否問題を今後提起しない」ことに
合意した。ともに胸に一物秘めての虚々実々の攻防だけに、これ以上突っ込んで泥仕合になるのを避けたとみられる。
 台湾総統選に向けて陳水扁総統は台湾独立志向をより鮮明にして、人口の8割強を占める本省人(日本統治時代から台湾
に住む漢族とその子弟)の支持を集める作戦だ。
 中台関係は緊迫し、米中のせめぎ合いはさらにめまぐるしくなる。今回の寄港拒否事件は台湾有事をめぐる米中の“前哨戦”
の色合いが濃厚だ。
 にこやかに右手で握手しながら左拳を固めて相手のすきをうかがっているのが、米中関係の現状だ。日本もぼやぼやしては
いられない。(編集委員 山本勲)