■「卵子なしで」 … 幹細胞生成の夢に休符はない
黄禹錫(ファン・ウソク)博士が2005年に、患者オーダーメード型幹細胞を作ったと報告したとき、全世界は
胚性幹細胞の臨床適用が「未来の夢」から「可能性の段階」へ飛躍した、と興奮した。研究が虚偽だ
と判明し、2,000個もの卵子を使っても幹細胞樹立に失敗したという事実が明らかになると、人間の胚
性幹細胞クローンは再び稀薄な可能性へと墜落した。その後、世界の研究者たちは卵子を使わない
で胚性幹細胞を作る方法に没頭し、最近になって驚くほど進展した研究成果を発表している。
生物学界の最高権威を誇る学術誌「セル(Cell)」は20日付のオンライン版で、皮膚の細胞から胚性幹
細胞とほとんど同じ細胞を作ったという驚くべき研究成果を発表する。日本の京都大学の山中伸弥教
授チームが率いる日米共同研究チームの成果は、「いままでどうして、あれほどまで倫理的論難を経
験してきたのか」と嘆かせるに十分なものだ。
簡単に言うと、ヒトの皮膚細胞に遺伝子発現を調節する4種類の化学的因子を添加することで得た成
果だ。このようにして誘導された幹細胞は、(1)胚性幹細胞からだけ出るタンパク質を作り出す、(2)神
経細胞や心筋細胞へと容易に分化する、(3)ネズミに注射するとテラトーマを形成する、などの典型的
な胚性幹細胞の特性を示す。<中略>
倫理的論難の種である胚の破壊を行なわず、クローニングの最大の障害物である卵子も使わずに、
患者の皮膚を僅かに切るだけで患者オーダーメード型幹細胞を作ることができる点が画期的だ。山中
教授は、「安全性の問題さえ解決されれば、患者オーダーメード型誘導幹細胞を細胞治療に使うこと
もできるだろう」と壮語した。
アメリカのバイオ企業であるアドバンスト・セル・テクノロジー社(ACT)のチョン・ヨンギ博士も、胚を破壊
することなく胚性幹細胞を作る方法で注目を集めた。チョン博士は昨年、初期胚から分裂した細胞一つ
だけを取り出して胚性幹細胞を作り、割球一つを抜いた残りの胚を個体として誕生させる方法をネイチ
ャー誌に報告した。しかし、この技術では患者オーダーメード型幹細胞を作ることはできない。
実はACT社は、クローン胚性幹細胞の樹立に一番熱心だった所だ。ACT社のロバート・ランザ副社長
は、黄博士の論文操作が明るみに出た後、「2003年末にクローン胚性幹細胞樹立直前まで行ったが、
黄博士の発表でACT社への研究費支援と卵子寄贈が打ち切られた」と悔しがった。
しかし、15・16日の「国際幹細胞ソウルシンポジウム」に参加したチョン博士は、「黄禹錫事件以後、
アメリカでは卵子寄贈はほとんど不可能になり、ACT社は体細胞クローンによる幹細胞研究を保留し
た状態だ」と語った。<中略>
研究者らは、どうしてこんなに難関が多い体細胞クローン方式に固執するのだろうか。チョン博士は、
「免疫拒否反応を解決できる画期的な代案が他に無いからだ」と説明する。チョン博士は、「日本の
研究チームが、体細胞を幹細胞のように変える技術を考案したが、この過程には遺伝子を挿入する
ためのウイルスが必須だ」として、「誰がウイルスの入った細胞を体内に入れたがるだろうか」と反問
した。
チョン博士は、「今は難しいが、結局は収率を高める研究を通じてクローニングによる患者オーダーメ
ード型幹細胞を作るようになるだろう」との見通しを語った。クローン胚性幹細胞研究は、今なお細胞
治療と倫理的価値という二つの夢と理想の間で彷徨中だ。
▽ソース:韓国日報/Naverニュース(韓国語)(2007/11/19 17:44)
http://news.hankooki.com/lpage/it_tech/200711/h2007111917441023760.htm http://news.naver.com/main/read.nhn?mode=LSD&mid=sec&sid1=105&oid=038&aid=0000408851 ▽関連スレ:
【科学】日米の科学者、ヒトの皮膚から人工「万能細胞」〜受精卵使わず、多様に分化[11/21]
http://news21.2ch.net/test/read.cgi/news4plus/1195604439/l50 【科学】 ヒト皮膚から“万能細胞(iPS細胞)”作製に成功、拒絶反応なく臨床応用に道…京都大教授ら、米科学誌「セル」に掲載★3
http://news22.2ch.net/test/read.cgi/newsplus/1195653776/l50