ミャンマー(ビルマ)を再訪中の国連のガンバリ事務総長特別顧問は8日、
ヤンゴンで民主化運動指導者アウン・サン・スー・チーさんと面会後、出国した。
軍事政権幹部とスー・チーさんを交えた3者会談や軍政トップのタン・シュエ
国家平和発展評議会議長との面会を拒否され、国際社会の期待を裏切る
成果の乏しい訪問となった。
ガンバリ顧問が現地入りした3日、国連の現地事務所は「使命を果たす
までとどまる」と不退転の決意を示す声明を出した。だが、面会できた最高位の
軍政幹部はナンバー4のテイン・セイン首相。6日、チョー・サン情報相との会談で、
スー・チーさんと軍政対話担当相を交えた3者会談を提案したが拒否された。
タン・シュエ議長にあてた潘基文(パン・ギムン)・国連事務総長の特別メッセージを
本人に手渡すこともできなかった。潘事務総長は同顧問の出発前に「今回は
実質的な成果が必要」と強調したが、成果以前に門前払いされた格好だ。
タン・シュエ議長は前回、同顧問と面会。スー・チーさんが「対決姿勢を改める」などの
条件をのめば対話すると話し、担当大臣を指名。スー・チーさんと担当相は先月末に
会談した。このため今回の訪問では対話の前進が期待されていた。
軍政側は国連現地事務所が先月24日、同国の人権状況を批判する声明を出した
ことに反発。2日、ヤンゴン駐在のペトリー国連常駐調整官に事実上の国外退去処分にすると通告した。
これが軍政側の態度硬化の理由とされるが、デモの武力弾圧から1カ月半が過ぎ、
「国際社会の関心がパキスタン情勢などに移ったとみて、譲歩する必要を感じなくなった
のではないか」(外交筋)との見方もある。
同顧問は軍政に民主化努力を促す前にペトリー氏の扱いを協議せざるをえなかった上、
軍政側からは「前回の訪問は欧米の制裁につながり、国民は一層窮地に陥った」(チョー・サン情報相)と抗議された。
ソース:朝日新聞
http://www.asahi.com/international/update/1108/TKY200711080447.html