中国、党大会向け来月中旬にも指導部決定 どうなる「上海閥」
http://www.sankei.co.jp/kokusai/china/070724/chn070724001.htm 【北京=野口東秀】
今年秋の第17回中国共産党大会に向けた指導部人事が、早ければ来月中旬にも
決定する見通しだ。最高指導部の政治局常務委員は現在の9人から7人に減らす
方向で調整中だ。5人との説もあるが可能性は高くない。中国筋が明らかにした。
胡錦濤国家主席は江沢民前国家主席を頂点とする「上海閥」の要だった陳良宇・
前上海党委員会書記を処分し、上海閥を“恫喝(どうかつ)”することで
指導力を発揮できる局面を獲得したが、権力の椅子(いす)をめぐる熾烈
(しれつ)な競争はぎりぎりまで予断を許さない様相だ。
指導部ポスト
中国筋によると、河北省の避暑地、北戴河では党・政府ら幹部による討議が
今月中旬から始まっており、政策や人事などに関し検討段階に入っている。
指導部人事は8月中旬にも骨格が決まる方向という。
引退とみられるのは、
▽賈慶林・全国政治協商会議主席
▽呉官正・中央規律検査委員会書記
▽羅幹・党中央政法委員会書記の3人。
「上海閥」に入る李長春・政治局常務委員の動向は不明だ。中立派の呉邦国・
全国人民代表大会常務委員長は残留するとみられるが、両者とも留任しても
「重要な役割は期待できない」(中国筋)とされ、「胡体制」の強化の
方向性は強いとみられる。
これまで胡主席の周囲は、李長春氏以外はすべて年齢が上で、指導力を
発揮しにくい状況だった。しかし胡主席は、自分の影響下にある若手指導者を
より多く登用したいとの考えも強く、曽慶紅・国家副主席ら“長老”を一掃
したい意向との見方もある。
同筋によると、曽副主席に関する人事は現段階では決定していない。
曽副主席はこれまで胡主席に何度か辞任の意向を伝えたとされる。しかし
曽副主席は政財界に強い影響力を持つ「太子党」(高級幹部子弟)や軍、
党内に幅広い人脈があり、胡主席は党内の安定を重視し、常務委員に残す
との見方も根強い。
≪胡錦濤色どれだけ?≫
上海の汚職事件で解任された陳前書記の後任人事では、劉延東・党中央
統一戦線部長、李源潮・江蘇省党委書記など胡主席の出身母体である共産
主義青年団(共青団派)の名前が浮上した。
しかし、中間派の浙江省トップで「太子党」代表格の習近平氏が就任した。
消息筋によると、曽副主席が調整に動いたとされ、胡主席も党内の安定を
重視したとされる。
また、江前政権下で抜擢(ばってき)されてきた上海出身の楊潔●氏を
外相に起用したのも、「上海閥への配慮もある」との見方もあり、中央・
地方人事を胡錦濤色一色に染められる状況ではない。
政治局から政治局常務委員に昇格する可能性があるのは、
▽王兆国・全人代常務副委員長
▽兪正声・湖北省党委書記
▽周永康・公安相
▽張徳江・広東省党委書記らだ。
政治局入りに向けた調整が進んでいるのは、
▽劉延東氏
▽汪洋重慶市党委書記ら。李源潮氏は流動的だ。
李克強・遼寧省党委書記が政治局を飛び越えて常務委員に名を連ね、
「ポスト胡」で飛び抜けた存在になる可能性も否定できない。李克強、
李源潮、劉、汪の各氏はいずれも共青団の出身幹部で、胡主席は中央・地方に
可能な限り共青団系幹部を配置し、権力基盤の強化を図りたい意向のようだ。
●=簾の广を厂に、兼を虎に
(2007/07/24 07:55)