http://cruel.org/cut/cut199608.html ***** Report from Iron Mountain: On the Possibility & Desirability of Peace *****
「永続的な平和は、理論的には可能だが、現実的には実現不可能であり、またかりに実現したとしても、
それが安定社会の最大利益と一致しないのは確実である」(序文)
「従来の平和論は、戦争は社会に従属するという誤った仮定のために非現実的なものとなっている。
(中略)
しかし実際は戦争こそが根元的な社会システムであり、他の社会機構はそれに従属するものでしかない。
(中略)
社会的対立や衝突が戦争を生むのではない。
正しくは、戦争を行う社会がそうした衝突を必要とし、それを創り出すのである」(第4章)
曰く:戦争は、軍需産業を成立させ、経済を安定化させる。
戦争は、軍事費の形で無駄な消費を喚起し、生産力の余剰を吸収する。
戦争は技術革新を促進し、技術の発展に寄与する。
戦争は国家の内外に対する強制力を顕示して規範力の根拠となり、国家の存在基盤をつくる。
戦争は明確な敵の設定により、社会に目標と秩序をもたらす。
戦争は過剰な人口を刈り取って、地球生態系の安定に寄与する。
軍隊は社会的落伍者の居場所を提供して社会の安定に寄与する。
戦争は充足して退屈した社会の欲求不満のはけ口を提供する。
そして共通の「敵」を通じて社会に共通の価値観をもたらすことで、それに基づく文化の発展をうながす。
「これほど多くの有益な機能を果たす戦争を廃止するには、何らかの代替システムが要求される。
が、現時点では、戦争の全機能を代替し得るシステムは存在しない。
性急な平和体制への移行は危険である。
現実的な代替システムの見通しがたつまで、責任をもって移行を勧めることはできない」(第7章要約)