中国ではジョークを「笑話」といい、退屈すると「笑話」に興ずる。
だから当初、一連の中国要人の発言は「笑話」だと勘違いした。
だが、「世界の中央に位置する文化国家」を自賛し、「中華」を自称する中国が
「世界の中央に位置する軍事国家」を目指すのであれば、笑えるほど論理破綻(はたん)
している発言は一転、笑えないほど恐ろしいすごみを持ってくる。
【小話その1】
中国が1月に行った弾道ミサイルによる衛星破壊実験に対し、
ジュネーブ軍縮会議で各国の批判が集中したときのこと。
中国軍縮大使は「実験はいかなる国を標的にしたものでもなく、脅威ではない」と弁明した。
だが、兵器の開発・実験は仮想敵を「標的」に進めるのが軍事常識。
しかも、「脅威ではない」兵器は、兵器として成り立たない。巨費を投じた場合は尚のこと、
「標的設定」「脅威としての価値」は必要不可欠な開発条件となる。そればかりか弾道ミサイルは、
現存兵器では最も防ぎにくい「脅威中の脅威」なのだ。と、ここまでは国際の条約や信義にもとる
軍事実験を断行した国が良く使う詭弁(きべん)である。ところが、ここからの発言がすごい。
「日米ミサイル防衛(MD)が世界の平和と安定に与える悪影響を懸念する」
そもそも、MDシステムは迎撃が主任務。北朝鮮や中国などが日米を狙うミサイルを配備するから、
防衛省は“心ならずも”他の兵器予算を割いてまで、システム構築に巨費を投じてきたのだ。
中国は弾道ミサイルをちらつかせた、日本などに対する恫喝(どうかつ)外交が効果減退する「悪影響を懸念」
しているだけだ。
大使はまた、米国が反対する宇宙軍拡競争防止条約の交渉入りを促したが、これもMD配備に歯止めをかける術数に他ならない。
温家宝首相に至っては3月、大使の発言と同じ趣旨を述べた後に「(国際)条約に違反していない」と主張。
「関係国に防止条約の早期調印を呼び掛ける」とまで言い切った。
条約に反対する米国への牽制(けんせい)とはいえ、あまりに威風堂々と明言されると、中国の実験自体が「(宇宙軍縮を求める)中国の提案にも反する」
(日本の樽井澄夫・軍縮大使)という矛盾を忘れてしまう。
衛星を破壊したミサイルを勝手に命名してみた。
「鉄面皮」
【小話その2】
中国共産党機関紙・人民日報(海外版)には「そうくるか」と、不覚にも感心してしまった。まず、中国に
「責任ある大国」になるよう求める国際社会の期待に触れ「国防力を含む力がなければ責任は果たせない」ときた。なるほど。
衛星破壊など軍事的膨張には「他国が何十年も前に持っているのに、大げさに騒ぐ」と一蹴(いっしゅう)した
確かに、米国も実験に成功している。
だが、軍事力は「能力」のみならず「意図」をもって脅威の度合いを測る。中国はその不透明な「意図」を、西側並みに説明すべきだ。
もっとも、答えがきちんと用意されていた。さすがである。
「他国の国防情報を一方的に透明化させるのは、実質的に一種の覇権(主義的行為)だ」
【小話その3】
自民党の中川昭一政調会長は、中国軍事費が19年連続で2ケタの伸び率を示したことをとらえ発言した。
「中国が攻める可能性はあるかもしれないが、中国を攻める国はないのではないか」
だが、中川会長はこんなすてきなジョークで、日中友好を促進するべきであった。
「中国が攻められる可能性はあるかもしれないが、中国が攻める国はないのではないか」
ただし、ベトナム、インド…など、中国軍進攻で多くの戦死者が出た国々では、この手のジョークは慎んだ方が無難だ。
ソース:産経iza
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/world/worldnews/47505/