中国で移転価格税制を適用されて追徴課税を受けた日系企業2社について、
二重課税を避けるために、日中の税務当局が相互協議を行い、
初めて税金の取り分について合意したことが12日、分かった。
中国では外国企業優遇策が見直され、日系企業に対する移転価格税制の適用が相次いでおり、
今後のモデルケースになりそうだ。
国税庁によると、日本企業の子会社(江蘇省)と、山東省の合弁会社が04〜05年、
中国の税務当局から「日本の親会社への支払いが過大で、中国国内の所得を意図的に少なく申告している」と
指摘されたという。
その後、日中間で互いの税金の取り分について協議が続けられ、昨年12月に合意したという。
中国は、外資系企業を誘致する目的で、日本の法人税に当たる企業所得税を低くするなど
税制面で優遇を与えてきた。このため、移転価格税制に関する税務調査も80〜90年代はほとんど行われず、
相互協議もほとんどなかった。
しかし、企業所得税は08年から中国の国内企業と同率に引き上げられる見込みで、
移転価格税制に関する調査も00年ごろから積極姿勢に転換した。
日中の税務当局間では、現在も中国側の移転価格税制適用に伴う相互協議が数件行われているという。
【高島博之】
◇ことば…「移転価格税制」
グループ企業内での国際取引によって、法人所得が過剰に国外流出しないようにする制度。
国内で生ずるべき所得を国外に移転させたと税務当局が判断した場合、
移転した所得を国内分として課税し直す。
しかし、国外で既に納付されている税金が還付されなければ二重課税となることから、
相互協議によって適正な取り分が話し合われる。
毎日新聞 2007年4月13日 3時00分
http://www.mainichi-msn.co.jp/seiji/gyousei/news/20070413k0000m010178000c.html