韓国社会を読む 2011年世界陸上誘致
5万人が「観戦キャンペーン」 大邱市民の熱意 5万人が「観戦キャンペーン」
国際陸上競技連盟(IAAF)は3月27日、ケニアのモンバサで執行委員会を開き、
2011年世界陸上選手権大会が大邱で行われることを発表した。
開催地を決める投票には、IAAFの執行委員25人が参加、得票内容は非公開だった。
韓国内陸部の都市が、世界陸上の強豪国ロシアの首都モスクワや、
オーストラリアのブリスベンを相手に誘致合戦に勝った。韓国国民は驚いた。
韓国は世界三大スポーツイベントである夏季オリンピック(1988年ソウル)、
サッカーワールドカップ(2002年)、世界陸上選手権を開催する国となった。
この「トリプルクラウン」を手にした国は、日本、イタリア、ドイツ、スウェーデン、
スペイン、フランスの六カ国だ。
大邱の大会誘致には、政府も、マスコミも、国民も関心は低かった。
「不可能」だという反応が多くを占めた。
「あまりにも反応がなく、2回も誘致委員会を解散しようと思った」
柳宗夏誘致委員長の言葉だ。
誘致成功の原動力になったのは何だったのか。
何より、大邱市民の熱意が挙げられる。今年2月、IAAFの実体調査団が訪韓した際、
市民約5万人が街に繰り出し、「競技観戦キャンペーン」を行った。80万人の署名が集まった。
IAAF調査団のディーゲル団長が足に痛みを訴えると、大邱市は医療チームをホテルに送り、
診療後には新しい靴も贈った。モロッコ出身のムタワケル執行理事には、自国選手の優勝シーン
の映像を見せた。実体調査団員たちには肖像画を描いて、歓待した。
誘致委員会のある関係者は「投票者たちは(大邱に対する)義理を忘れようとしたがで
きなかった」と言った。
2番目の理由は、メインスタジアムの大邱ワールドカップ競技場と、選手村、メディア・センター
などのインフラが整っていたからだ。2002年ワールドカップと、03年夏季ユニバーシアード大会で
使った施設がそのまま活用された。
27日の投票直前に実施された最終プレゼンテーションで、徹底的な準備と、IAAFへの破格の金銭的
協力(選手団の滞在費や、取材記者への1日100ドル支給など)を提示したことも、ほかの都市より
優位に立てた一因だ。
大邱以外にも大型国際イベントの誘致合戦を繰り広げている韓国の都市はある。韓国人は、大邱の
成功がこれらの都市の誘致成功につながることを期待している。
仁川は14年の夏季アジア大会、江原道・平昌は14年の冬期オリンピック、全南・麗水は12年世界
博覧会の開催都市に立候補している。各イベントの開催地決定は、4月(夏季アジア大会)と7月
(冬期オリンピック、世界博覧会)だ。
世界陸上選手権大会は、IAAFに加入している世界212カ国から3200人以上の選手団と、取材陣3000人
以上が参加する。IAAFの加盟国数は、国連や国際サッカー連盟の加盟国数よりも多い。
47の種目(男子24種目、女子23種目)が行われる世界陸上選手権大会は、1983年の第1回大会以後、
91年までは4年ごとに、その後は2年ごとに開催されている。規模としてはオリンピックに引けを
とらない。世界65億人が見守るマンモスイベントだ。
今年の大会は8月25日から大阪で、2009年の大会はベルリンで開かれる。
一方、人口254万人の大邱市は5000億ウォン以上の経済効果を見込んでいる。
大邱慶北研究院の試算によると、総生産4075億ウォン、付加価置1764億ウォン、
雇用創出は約6800人に上る。
2011年大会の開催が確定し、大邱誘致委員会は3カ月以内に大会組織委員会に変わる。
大邱市は7月頃に、現在の誘致委員会を「組織委員会」に改編し、本格的な大会準備に入る。
メイン・スポンサーは、大邱で事業を興した「サムスン」が有力視されている。
http://www.onekoreanews.net/news-syakai04.cfm