■米からも“包囲網”
世界第3位の貿易大国となった中国に対する海外から反ダンピング(不当廉売)調査など
貿易摩擦が急増している。2006年の中国への反ダンピング調査などは86件に上り、
対象金額で前年比37%増の20億5000万ドル(約2398億5000万円)に急増した。
日本貿易振興機構(ジェトロ)によると、このうち約7割がインド、トルコなど途上国だったのが特徴。
貿易問題で対中批判の急先鋒(せんぽう)である米商務省は、紙製品の輸入で相殺関税の適用を調査中。
貿易摩擦をめぐる包囲網を狭めている。
中国の貿易黒字は、06年に1774億7000万ドルと前年比74・2%増と過去最高となり、
貿易摩擦も拡大している。
中でも、国内価格よりも低い輸出価格を設定している場合に、
制裁的な関税を科すことができる反ダンピング認定の調査は63件(約14億ドル)にのぼった。
このほかにも輸出補助金調査、セーフガード(緊急輸入制限)など、
中国からの安価な輸入製品攻勢への対抗措置発動は86件だった。
このうち、反ダンピングはインドから磁器レンガや化学品などの分野で反ダンピング調査をされているほか、
アルゼンチン、トルコ、南アフリカなど途上国からの調査が7割を占めたという。
中国からの輸出は、海外から部品を輸入して組み立てて輸出する加工貿易が主体だったが、
このところ繊維や化学品、機械、自動車などの工業品で途上国向けの輸出が増えているのが特徴だ。
≪脅威論の証≫
途上国からの相次ぐ反ダンピング調査は、急増する中国製品への脅威論の証でもある。
このため自国産業と競合しかねない中国製品との摩擦が激化しており、問題は沈静化しそうにない状況。
対中貿易赤字2330億ドル(06年、香港経由を含む)を抱えている米国のいらだちも再燃している。
スプーナー米商務次官補(輸入担当)は今月15日、下院の歳入委員会貿易小委員会の公聴会で
中国からのコート紙を想定し、輸入品に対する相殺関税の適用問題について、
「条件さえ整えば法的な障害はない」と述べて、反ダンピング調査だけでなく、相殺関税の可能性も示唆している。
米国の民主、共和両米下院議員は2月、経済実態から乖離(かいり)した人民元相場が
世界貿易機関(WTO)ルール違反の輸出補助金に相当するとし、
米政府に貿易上の対抗措置を取るよう求める「2007年公正為替法案」を提出するなど気勢をあげている。
一方、中国政府にとって、当面、貿易摩擦の即効薬はないのが実情だ。
≪黒字容認?≫
中国商務省は、今年1月に発表した商務省政策発展要綱で、輸出主導から内需拡大を目指すと同時に、
輸入促進などで貿易収支を10年に均衡させる計画を打ち出した。
だが、当初は、黒字削減が最優先課題だとしていた薄煕来(はくきらい)商務相すら、
16日に閉幕した、全国人民代表大会(全人代=国会)を通じて、黒字を容認する姿勢にトーンダウン。
温家宝首相の政治活動報告などで人民元の切り上げを温存したままの現状を考慮すると、
急激な黒字削減は難しいとの認識が浸透した結果、軌道修正したのが現状だ。
中国商務省などによると、反ダンピングの調査による影響額が輸出総額に占める割合は0・4%と軽微。
今後、輸出構造も加工貿易から一般輸出へと変化する。
ジェトロでは「貿易摩擦の影響は今後、無視できなくなる」と分析。
「中国側も対抗上、反ダンピング調査などを行使するケースが増える」
(江原規由・企画部事業推進主幹)と予想している。
Yahoo!ニュース(フジサンケイビジネスアイ)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070322-00000008-fsi-bus_all 関連スレ:
【中国】 日本の化学品に「クロ」、ダンピング仮決定〜22日から反ダンピング措置発動 [03/21]
http://news21.2ch.net/test/read.cgi/news4plus/1174475799/