■金融などサービス分野拡大映す
日中の2006年投資統計数字に大きな差異が生じ、関係者の注目を集めている。財務省がまとめた
日本企業による対中投資(国際収支統計をドル換算)と、中国商務省がまとめた日本からの投資額に、
15億6600万ドル(約1801億円)もの違いが出たためだ。いずれも前年比で02年以来4年ぶりの
減少となったが、金融などサービス業の扱いから投資額に差が出た。関係者は製造業の対中投資が
一服し、サービス業の投資が拡大したためと分析している。(上原すみ子)
日本貿易振興機構(ジェトロ)によると、財務省がまとめた06年の対中投資額は61億6400万ドルと
前年同期比で6・3%減だった。一方、中国商務省が1月に発表している日本からの投資額は同29・6%
減の45億9800万ドルで、差し引き15億6600万ドルにのぼる差異が日中間で出た。
こうした日中の統計の開きは、「中国側統計に金融分野の投資などサービス投資が含まれていない
ことが大きく、特に06年には投資の中身が変化したことで差異が拡大した」とジェトロ中国北アジア課の
清水顕司氏はみている。日中の投資統計数字は04年には中国側が約55億ドル、日本側が約59億ドル
と開いたものの、05年は日中ともに65億ドルと誤差の範囲にあった。
日系製造業の対中投資は、昨年の自動車関連の大型投資が一巡したことに加え、中国政府の外資
優遇策の転換や人件費増などのコストアップ要因がある。中国政府は、昨年相次いで最低賃金を引き
上げ、社会保障費を含めた労働コストが高騰しているほか、工場用地価格の引き上げなどで中国での
コストが上昇していることが背景にある。
日本側の統計では、対中投資は日本の対外投資全体の約503億ドルの投資の12・3%を占め、国別
金額では米国、英国に次ぐ第3位。依然として投資額は上位にある。
06年の日本企業の対中投資の特徴は、金融分野の対中投資が増加した点という。中国は昨年12月に、
加盟から5年が経過した世界貿易機関(WTO)との取り決めに沿って、リテール分野への外資開放など、
金融分野での規制緩和を進めた。
日本側の統計には中国企業への資本参加や株式取得なども含まれる。
そうした動きの中で三菱東京UFJ銀行は昨年6月、中国4大国有商業銀行の一つ、中国銀行の香港
上場時に1億8000万ドルを出資。また大和証券SMBCが、上海広電集団とNECのカラー液晶事業合弁
に出資するなど、製造業以外からの投資案件が相次いだ。
昨年12月の「外資銀行管理条例」の施行を機に外資へのリテール業務への参入や現地法人設立が
認可された。昨年12月にみずほコーポレート銀行と三菱東京UFJ銀行が中国銀行業監督管理委員会
(銀監会)から現地法人の設立認可を受けている。邦銀は相次いで、日系向けに中国で運転資金や設備
資金への融資を拡大しており、07年は、邦銀の現法化に伴う直接投資が増える見通しだ。
06年はリース業の進出も相次いだ。05年の外資によるリース事業への参入規制緩和を背景に、最大手
のオリックス、東京リース、センチュリーリースなどが新会社を設立して、主に日系企業向けに人民元建ての
資金需要に対応し始めている。
商社では三井物産が昨年9月にオルドス電力冶金に約180億円の資本参加を行ったほか、双日の化学
品子会社の双日ケミカルが、昨年7月に鉄鋼副原料などに使われるドロマイトなどの生産販売会社である
安徽宏日鉱業に資本参加。住友商事も10月に、中国江西省で希少金属の生産販売合弁に資本参加して
いる。
▲ソース:FujiSankei Business i.(日本語)2007/03/07
http://www.business-i.jp/news/china-page/news/200703070019a.nwc ▼関連スレッド
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