【マレーシア】アジアの洪水ハザードマップ作成、日本が支援
2月9日8時0分配信 NNA
日本の独立行政法人の土木研究所(PWRI)とマレーシアの天然資源・環境省が
7〜9日の日程で「洪水ハザードマップ東・東南アジア地域セミナー」を開催して
いる。同研究所はこれまで、日本でアジア各国の専門家を招き、研修を実施して
きたが、海外でセミナーを開催するのは初の試み。アジアから9カ国の元研修生ら
がクアラルンプールに集まり、現場レベルでの課題や成功例などについて意見を
交換したほか、現場視察なども行った。
同セミナーは2004年〜08年の5年間にわたる国際協力機構(JICA)とPWRIによる
研修事業の一環。同研究所は毎年、各国から2人ずつ専門家を日本に招き、3〜5週
間にわたってハザードマップの作成に必要な専門知識や技術を提供してきた。今
回のセミナーでは、研修後に現場で、どのような課題に直面しているか、その課
題についてどのような解決策があるかを討議した。
■国ごとに異なる手法
同研究所の田中茂信上席研究員はNNAの取材に対し「技術的な内容は日本での研修
で十分なレベルに到達している。現場での課題について、顔の見える場で話し合う
ことが将来につなげる上でも重要」と説明。中国やベトナムでは、水の流入量を計算
して先に地図を作ってから、住民らに配付するといった方法をとっているのに対し、
フィリピンやカンボジアでは、洪水の被害を受けた住民への聞き取り調査を行った上
で、数字を積み上げるといった方法を採用している。
同上席研究員によると、前者は早く作成することができるといった長所がある一方、
後者は住民への周知といった面で高い効果があるという。特に、完成した地図を配る
だけでなく、ラジオ放送を意識することや、サイレンの意味などを直接伝える機会が
あるという点が評価されている。
マレーシアは、両方を採用しており、一部の地域で初歩的な地図がようやく作成さ
れるようになった段階。昨年末と先月にマレー半島南部で発生した洪水後は、聞き取
り調査に力を入れている。ただ、まだ本格的な調査を開始したばかりの状態で、本格
的なハザードマップといえる状態ではない。深刻な被害が出たことから、今後は調査
が加速するとみられる。
■課題は「高さ」
途上国全体で共通する課題としては、避難所の設置場所を検討したり、どの地域の
住民を避難させるかを決定するための重要なデータとなる「土地の高さ」に関する正
確な情報が少ないことが挙げられている。
国営ベルナマ通信によると、初日の開会式典に出席したS・ソティナサン副天然資源
・環境相は「救護施設をどこに設置するか、被災地に向かうルートをどのように選定す
るかなどを決める上で、ハザードマップの存在は極めて重要だ。不動産の開発許可を行
う上での指針になるほか、保険会社などにとっても、より正確な保険料を算定すること
ができるようになる」と指摘した。
最終更新:2月9日8時0分
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070209-00000004-nna-int