【社説】対北朝鮮政策の基本原則を堅持せよ…日経新聞[02/08]

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1守礼之民φ ★
北朝鮮の核問題を巡る6カ国協議が8日、北京で再開する。

米国など5カ国は北朝鮮に核施設凍結など核放棄の初期段階の具体的措置を
確約させることをめざす一方、北朝鮮はエネルギー支援などの見返り措置を
求めている。核問題で進展があれば協議を深化、加速するための5つの作業部会
(朝鮮半島の非核化、エネルギー・経済支援、米朝国交正常化、日朝国交正常化など)の
設置に合意し、11日にも閉会の予定だ。

気になるのは、「北朝鮮の全面的で不可逆的な核廃棄」を求めていた米国の姿勢に
このところ“軟化”の気配がうかがえることだ。中韓ロ3カ国はかねて北朝鮮が寧辺
(ヨンビョン)の原子炉凍結を確約すればエネルギー・経済支援を積極化する構えを
みせていたが、米国がこれに引き寄せられる傾向が出ている。

北朝鮮の核施設は寧辺原子炉のほかに実験後に保有宣言した原爆、ひそかに
進めていた濃縮ウラン型原爆の開発施設などに広がっている。全面的な非核化の
範囲と段取りを確定する前にエネルギー・経済支援が動き出せば、北朝鮮への
「対話と圧力」政策は腰砕けに終わってしまう。日本は「目に見える成果」を急ぎだした
米国を引き留め、協議でこの点を強く主張すべきだ。

「拉致問題の解決なしに対北支援や国交正常化はありえない」との従来政策を
堅持すべきなのは言うまでもない。

米朝両国は1994年、北朝鮮が寧辺の原子炉と、プルトニウムを生み出す
使用済み核燃料棒を凍結する見返りに、年間50万トンの重油を提供することで合意した。

しかし北朝鮮はその後、パキスタンなどと連携して濃縮ウラン型原爆の開発を
進めていたことが判明した。さらに2002年末には寧辺の原子炉、使用済み核燃料棒の
凍結を解除して公然と核武装を再開、昨年10月の核実験で核保有国を宣言、すでに
5個以上の核爆弾を保有しているもようだ。

6カ国協議が作業部会を設けることに異論はないが、朝鮮半島非核化の内容と
具体化の時間表を厳密に詰めることが何より重要だ。核施設の一部凍結だけで
なし崩し的に支援が始まれば、北朝鮮の思うつぼだ。

ブッシュ米政権はイラク情勢の悪化で支持率低下に歯止めがかからず、北朝鮮の
核問題で成果を急いでいるともいわれる。しかしブッシュ政権はクリントン政権期の
米朝核合意を批判して全面的核廃棄を求める政策を打ち出したのである。

仮に94年の合意より後退する事態を招くなら対北政策は失敗である。
もう一度手綱を引き締めてもらいたい。

ソース(NIKKEI NET):
http://www.nikkei.co.jp/news/shasetsu/index20070207MS3M0700507022007.html