グローバル投資のポイント 第43回−村田雅志
上昇を続けた中国株が、足元で大きく調整しています。
2月5日、中国株の代表的な指標である上海総合株価指数(上海指数)の終値は
2612.54と、5日連続の下落となりました。過去最高を記録した今年1月24日と
比べると、上海指数は12%下落したことになります。
昨年11月から今年1月末まで、中国株は急ピッチで上昇を続けていました。
昨年11月1日の上海指数(終値)からの上昇率をみると、わずか1カ月後の
11月30日に13%の上昇を記録し、年末(12月29日)には44%の上昇、そして
過去最高を記録した今年1月24日には60%の上昇となっています。2月に入って
上海指数は下落が続いていますが、それでも昨年11月1日からみれば、上海指数は
4割以上も上昇していることになります。
中国株が下落する理由として、中国金融当局による株価抑制策が指摘されています。
中国の全国人民代表大会(全人代)常務委員会の成思危・副委員長は、
英「フィナンシャル・タイムズ」紙に対し「バブルが形成されている。投資家はリスクを
心配すべきだ」と発言し、中国株の上昇が「バブル」状態にあることを明言しました。
また、その後も成・副委員長は、中国の金融時報に「中国の株式市場には国内外から
資金が流入し、過熱状態にある」と寄稿し、中国株の上昇に対する警戒感を隠そうと
していません。成・副委員長のこうした姿勢をみれば、市場が当局による株価抑制策を
懸念するのも自然のことと思われます。
ただ、仮に中国の当局者が中国株の上昇に警鐘を鳴らさなくても、中国株の調整は
起きても不思議ではなかったと思えます。株式の時価総額を企業利益で割ることで
求められるPER(株価収益率)を2月5日時点で比べると、韓国総合株価指数(KOSPI)が
13倍、インドNIFTY指数が24倍であるのに対し、上海指数は37倍と、他市場に比べ
割高感が強い状況です。仮に上海指数の株価収益率がインドNIFTY指数と同程度まで
低下する余地があるならば、上海指数は、足元からさらに3割以上下落しても不思議では
ないことになります。
これまで拡大を続けてきた外資企業による中国への直接投資が伸び悩んでいる点も
気になるところです。中国商務部が公表した昨年の投資統計によると、日本から中国へ
の直接投資は、前年(2005年)から3割近く減少しています。また日本に次いで中国に
投資する韓国の直接投資額は25%程度、米国も6%程度それぞれ減少しています。
中国当局は、理由として、中国国内の賃金や土地取得のコストが上昇した点を挙げて
いますが、仮にこれが真実であれば、中国企業の収益性は、コスト上昇により低下する
ことになり、急ピッチの株価上昇に合理性がなくなります。
国内外の投機資金の流入が今後も続く可能性があることや、08年開催の北京五輪を
契機にさらなる経済成長が見込まれることを理由に、長期で考えれば、中国株の上昇は、
今後も続くと見込む投資家が(プロアマ問わず)数多くいるようです。ただ、仮に中国株が
長期的には上昇するとしても、短期でみた場合、大きな調整を迎える可能性が高まって
いるのも事実です。中国株に限らないことですが、買えば儲かる、といったシンプルな
発想だけで中国株への投資を進めるのは、あまり感心できることではないように思えます。
(執筆者:村田雅志 株式会社GCIキャピタル・チーフエコノミスト)
ソース(サーチナ 中国情報局):
http://news.searchina.ne.jp/disp.cgi?y=2007&d=0207&f=column_0207_006.shtml 関連スレ:
【中国】株式市場はバブル…全人代副委員長[01/31]
http://news21.2ch.net/test/read.cgi/news4plus/1170212370/ 【中国】バブル経済―過熱する株式相場。新規公開株に18兆円[01/26]
http://news21.2ch.net/test/read.cgi/news4plus/1169819724/