タイ首相、警察庁長官を更迭 爆弾テロの不手際理由に
2007年02月05日21時18分
タイのスラユット首相は5日、コウィット警察庁長官を更迭した。昨年末に
バンコクで起きた連続爆弾テロへの対処の不手際を理由とするものの、同長官
はクーデターで追われたタクシン前首相に近いとされ、親タクシン派が多い警
察を牽制(けんせい)する狙いがあるとみられる。治安を担う軍と警察との亀
裂がさらに広がり、政局は不安定さを増しそうだ。
連続爆弾テロから約3週間後の先月20日から、警察当局は軍人15人を含
む19人を「テロに関与した疑いがある」として相次いで拘束したが、銃を所
持していた民間人1人を除き、いずれも「証拠不十分」で釈放した。
その後、捜査の進展がみられないうちに同30日には、バンコクの新聞社と
ホテルの近くで爆弾事件が起きた。この間に政権への不信は徐々に高まり、発
足直後に9割を超えていた支持率は5割を切った。
政権幹部は、コウィット長官更迭の理由を「能力不足」と説明した。
しかし背景には、クーデターを主導した軍と、タクシン前首相の出身母体で
ある警察とのあつれきがある。
親タクシン派と見られてきた長官は、クーデター後の治安当局の結束を演出
するために留任したとされ、ソンティ陸軍司令官が率いる国家安全保障評議会
のメンバーにも加わった。
だが爆弾事件を機に双方の亀裂が表面化。警察当局が軍人を容疑者として拘
束した際には、ソンティ司令官が「冤罪だったら長官は責任を取るべきだ」と
批判していた。
後任には警察庁顧問のセリピスット氏が長官代行として指名された。同氏は
前首相とは距離を置いてきたとされる。
しかし、警察内部には今なお親タクシン派が多く、「彼らがどう動くかで政
局に影響が出る可能性は否定できない」(外交筋)とみられている。
http://www.asahi.com/international/update/0205/011.html