「黄金の三角地帯」麻薬栽培根絶への道
世界最大級の麻薬栽培地域として悪名高い「黄金の三角地帯」。その一角であるタイ北部
では、厳しい取り締まりのなか、変化が起きつつあります。麻薬栽培の根絶に向けた取り組
みを取材しました。
タイ、ラオス、ミャンマーの国境が接する「黄金の三角地帯」。アヘンやヘロインの原料
となるケシの栽培で知られています。しかし、タイでは厳しい取締りなどによって栽培地域
は大幅に減り、国境地帯などに残されるだけとなっています。
山道を車でおよそ2時間、さらに徒歩でおよそ30分かけてようやくケシ畑に到着します。
赤や紫の色とりどりの花をつけたケシ。以前は集落の周辺などでも大規模に栽培が行われて
いましたが、今は取り締りの目を逃れるため、山奥で人目につかないように栽培が続けられ
ています。
このケシ畑は、山岳民族、ラフ族の男性が家族とともに栽培を行っていて、数キロの収穫
があるとのことですが、「自分たちで吸うためだけに栽培している」と話します。
「いったんは栽培をやめたが、アヘンを吸うのをやめられずにまた始めた。この辺では他
の人も栽培しているが、お互いに詳しく話すことはない」(ケシを栽培しているラフ族の男性)
「アヘンを吸うと眠くなり、背中の痛みがなくなります」(男性の妻)
タイでは取り締まりに加え、コーヒーやお茶など、ケシに替わる作物の導入を奨励してケシ
栽培の根絶を目指してきました。
「ケシを栽培して逮捕されるよりもコーヒーなどを栽培したほうがずっといい。その方がは
るかに幸せです。二度とケシ栽培をしようと思いません」(ケシ栽培をやめた男性)
この地域で感染症予防など医療支援活動を行っている日本のNGO・JIFF(日本親善厚生財団)。マラリアに効く成分を持った植物をケシの代替作物として栽培できないか、研究を進めています。
「『クソニンジン』というのがありまして、これがマラリアの特効薬に効くということで、
これはぜひ(栽培を)実現させたいですね」(日本親善厚生財団 梅田氏)
麻薬の生産地からマラリア治療薬の原料の供給地へと変貌させたい。関係者の取り組みは今、
始まったばかりです。(04日16:09)
http://news.tbs.co.jp/20070204/headline/tbs_headline3485624.html