【拉致問題】 めぐみさん拉致 実名公表10年 葛藤超えた父の決意 [02/04]

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1薔薇おばはんφ ★

 横田めぐみさん=拉致当時(13)=の“拉致疑惑”について、初めて産経新聞と週刊誌「AERA」が報じた
のは平成9年2月3日だった。めぐみさんの家族は当初、実名を公表するかどうかで揺れた。あの日から3日
で丸10年。家族会の活動、金正日総書記に拉致を認めさせたこと、拉致被害者5人の帰国…。覚悟を決め
ての「めぐみ」の公表が、戦いの始まりと、世論を動かすきっかけになった。(住井亨介)

【写真】めぐみさんの実名報道に踏み切った苦悩を語る横田滋さんと早紀江さん夫妻=1月、川崎市(撮影・小松洋)
ttp://www.sankei.co.jp/shakai/rachi/070204/rat070204000-1.jpg

 ≪情報≫

 「お宅のお嬢さんは北朝鮮の工作員に拉致された。平壌で生きているという情報がある」

 平成9年1月下旬、参院議員秘書(当時)からめぐみさんの父、滋さん(74)と、母、早紀江さん(71)にこん
な連絡が入った。詳しい事情を聴くため、滋さんは東京・永田町の議員会館に向かった。

 めったに涙をみせない滋さんは、情報を聞き、涙ぐんだという。失跡から20年。「ああ、これで解決した。
帰ってくる」と思う半面、疑問が次々とわいた。「本当なのか。何で北朝鮮にいるのか」

 情報は一部のマスコミにも漏れ始めていた。めぐみさんや家族の実名が公表されたらどうなるのか。
大きな問題が突きつけられた。

 早紀江さんは「(めぐみさんの)顔写真を出したりしたら、本当に大変なことになるって思った。
『命がなくなる』って」と振り返る。

 滋さんは違った。「(実名を出さないと)信憑(しんぴょう)性が疑われ、すぐに(話が)立ち消えになってしまう。
安全は図られるかもしれないが、これまでの20年間と同じで、何もないままわれわれも死んでしまうかもしれない。
めぐみも帰れないままになるかもしれない」

 ≪覚悟≫

 早紀江さんは何度も、めぐみさんの双子の弟、拓也さん(38)と哲也さん(38)に電話をかけ、「お父さん、
(実名を)出すって言っているよ。どうする?」と相談した。2人の答えは、「名前を出せば危ない。
絶対出しちゃだめだ。お父さんの言っていることは正しいけれど、父親としての観点が欠けている。安全を重視
すべきだ」だった。

 公表によって、自分たちにも降りかかるかもしれない危害。不安と悩みで眠れない日々が続いた。

 報道当日の衆院予算委員会で、めぐみさん失跡について質問した西村真悟議員は事前に、政府に質問主意
書を提出していたが、そこにはめぐみさんの実名が書かれていた。早紀江さんらは、滋さんの固い決意に押され
る形で、「本当の覚悟」を決め、一歩を踏み出した。弟らは「玄関は二重鍵にして」などと、父母を気遣った。

>>2-5あたりに続く)

ソース:産経
http://www.sankei.co.jp/shakai/rachi/070204/rat070204000.htm
2薔薇おばはんφ ★:2007/02/04(日) 08:39:48 ID:??? BE:145513038-BRZ(5800)
 ≪変化≫

 「やってよかったんですよね、今にして思えば」。早紀江さんはそう言う。めぐみさんの実名公表で、少しずつ動
きだした。9年3月には各地のほかの拉致被害者家族らが実名を挙げて、「家族会」を結成。集会に加え、真夏の
暑い日も、雪降る寒い日も街頭で署名活動を繰り返した。それを取り上げるマスコミはほんの一部だったが、家族
は地道に続けた。

 この10年間で集めた署名は約562万人分。この一部を首相や外相に直接、手渡したこともあった。そして、14年
9月、山は動いた。一貫して「拉致はでっちあげ」と主張していた北が拉致を認めた。そして、5人が帰国。北にいた
家族も取り戻し、5人は永住を決めた。実名の公表が、また家族の地道な活動、悲痛な叫びが、ここまで政治を動かした。

 だが、めぐみさんをはじめ、残りの政府認定の被害者12人について、北は「偽遺骨」に象徴されるように何の根拠
も示さないまま、「解決済み」との態度を続ける。

 滋さんは「(いろいろと)話はあるが、めぐみについては何の進展もない」と言い、早紀江さんも「家族には何も分か
らない。本当のことが分からない。それがつらいんです」と話す。

 「今年こそ、何かが動くことを祈っています」。その思いが、10年たっても変わっていないことが、あまりにむごい。

                   ◇

【用語解説】横田めぐみさん拉致事件

 昭和52年11月15日、中学1年だった横田めぐみさんがバドミントンの部活動を終えて下校中、新潟市内の自宅
近くで拉致された。北朝鮮側は、平成14年の日朝首脳会談で日本人拉致を認めたが、めぐみさんは「死亡」と説明。
その後、めぐみさんの娘、キム・ヘギョンさんの存在が判明し、めぐみさんの夫が韓国の拉致被害者、金英男さん
であることがほぼ確実となった。北朝鮮側が16年11月の日朝実務者協議で、めぐみさんのものとして提供した
「遺骨」は、DNA鑑定で別人2人のものと判明している。

(終わり)