■脱北者保護のマニュアルすらない韓国の在外公館
北朝鮮に拉致され、今月16日に韓国に帰還した漁師・崔旭一(チェ・ウクイル)さんに対して
ぞんざいな対応をしたり、韓国戦争(朝鮮戦争)当時の韓国軍捕虜の家族9人をきちんと保護
せずに北朝鮮に送還したのは、単に瀋陽の韓国総領事館だけの問題ではない、という指摘が
出ている。「北朝鮮拉致被害者・脱北者人権連帯」の都希侖(ト・ヒユン)代表は18日、
「特定の在外公館の一般職員による単なる事務的なミスとは考えにくい。韓国政府が韓国軍捕虜や
拉致被害者に対するはっきりとした政策を打ち出さない限り、これからも起こり得る問題だ」と述べた。
◆「詳細な対処マニュアルすらない」
韓国政府は、韓国軍捕虜や拉致被害者、また一般の脱北者の問題が発生した際の対処の手順を定めた
詳細なマニュアルを備えていない。現場の職員が受動的、または臨機応変に対処しているケースが多い、
と外交通商部関係者は話している。
在外公館で領事業務を担当してきたある外交官OBは「韓国国民である韓国軍捕虜や拉致被害者の場合は、
公館の外で接触し、中国側と協議した上で帰還させ、また一般の脱北者は自らの意思で公館に駆け込んだ場合、
本人の意思を確認して対処する、といった程度のマニュアルはある」と話した。だが、「中国と協議する間、
彼らを一時的に保護する場所や、たびたび発生する予想外の事態に対する対応は、担当の外交官に任されて
いるとみていいだろう」という。
「北朝鮮民主化ネットワーク」の韓基弘(ハン・キホン)代表は「脱北者の立場にしてみれば、自分の担当の
外交官がどんな人物かによって、直面する状況も 180度違うという事態になっている。政府が原則やマニュアルも示さず、
ただ世論に流されるままで、この問題に真摯(しんし)に対処していないためだ」と話す。
◆「太陽政策と脱北者政策を切り離せなかったのが災いのもと」
ある国策研究機関の研究員は、今回の事態について「金大中(キム・デジュン)政権が太陽政策と韓国軍捕虜や
拉致被害者の問題を切り離して対処しなかったのが災いのもとだった」と話した。北朝鮮に対する支援を強調した
一方で、人道主義や自国民の保護という、別の重要な原則が政策に十分に反映されなかったというわけだ。
実際、金大中前大統領や盧武鉉(ノ・ムヒョン)大統領がこの問題について公式に言及した記録は見つかっていない。
イ・ジョンソク前統一部長官が昨年初めの就任当初、拉致問題について関心を傾けていく、と述べたことが報じられた
程度に過ぎない。
むしろ、否定的な言及も少なくなかった。鄭東泳(チョン・ドンヨン)元統一部長官は2004年、東南アジアのある国から
数百人の脱北者が一斉に韓国に入国したことについて、「今後は脱北者が一斉に移送されることはないだろう」と述べ、
脱北を誘導する行動を自制するよう公式に述べた。
鄭元長官は、韓国に入国する脱北者の数が急増していることについて「計画的な脱北が行われているようだ」
とも述べた。また昨年4月には、申彦詳(シン・オンサン)統一部次官が「韓国内の北朝鮮人権団体が出任せを
言っているだけだ」という趣旨の発言をし、物議を醸したこともある。ある脱北者は「2005年には脱北者に対する
支援金が1000万ウォン(約129万円)ほど減額された。北朝鮮への支援額は減っていないのに、なぜ脱北者への
定着支援金は減るのか理解できない」と話した。
高麗大の柳浩烈(ユ・ホヨル)教授は「大統領を含む外交・統一部門の当局者らが関心を傾けない限り、
一般職員らが積極的な姿勢を見せることに期待するのは無理な話だ。少なくとも韓国軍捕虜や拉致問題だけでも、
北朝鮮に対して毅然とした姿勢で返還を求めていくべきだ」と話した。
安容均(アン・ヨンギュン)記者
朝鮮日報/朝鮮日報JNS 記事入力 : 2007/01/19 17:01
http://japanese.chosun.com/site/data/html_dir/2007/01/19/20070119000061.html