【黒田勝弘】日本批判を楽しんできた盧武鉉大統領、今回の安倍首相との日韓首脳会談で遂に「歴史講義」に幕?[10/08]

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■盧政権 「歴史講義」に幕? 日韓首脳会談、主題は「北」

【ソウル=黒田勝弘】韓国の盧武鉉政権の過去中心の「対日認識」が試練を迎えている。
9日に予定されている安倍晋三首相との初の日韓首脳会談は「歴史より北朝鮮」が中心
議題になりそうだ。これまで歴史問題に安住(?)しながら日本批判を楽しんでいた感じの
盧武鉉政権も、北朝鮮という現実を突きつけられ、現実的な対日外交をせざるをえなくなった。

盧武鉉大統領はこれまで、日本や米国、中国をはじめ各国の首脳との会談では決まって
日本批判の“歴史講義”を展開してきた。時には日本批判の歴史の長話がひんしゅくを買う
といったこともあった。盧政権が執着している「竹島・教科書・靖国」という歴史がらみの“反日
3点セット”で各国の理解と支持をえようというわけだ。

日本がこうした“3点セット”で韓国の主張を受け入れないのは、過去の歴史に対する謝罪と
反省がなく、再び侵略主義的な方向へ向かうことを意味するというのだ。その基本的考え方
は日本脅威論である。

たとえば盧大統領は「8・15光復節」の記念演説でも「東アジアの地域平和と協力秩序を脅
かす覇権主義」を指摘し「北東アジアには今も過去の不幸な機運がうごめいている」と述べ、
中国や北朝鮮ではなく日本に対する警戒心を強調している。

一方、北朝鮮に関してはこれまで、核開発の動きを「(自衛のためには)一理はある」と理解
を示し、先のミサイル発射に対しても「政治的なもので騒ぐ必要はない」とし、北朝鮮より、安
全保障上の対策を議論する日本を逆に「侵略主義的」と非難してきた。

ところが、盧政権が過去の歴史を理由に日本脅威論を主張し、歴史がらみの不急の“対日
非難外交”を続けている間に、東アジアをはじめ国際社会は、核実験まで強行しかねない
現実的な北朝鮮の脅威に直面してしまった。

盧武鉉政権にとって、東アジアにおける平和と秩序を脅かしているのは日本ではなく、北朝
鮮だという「現実」がよりいっそう明確になったのだ。日本の「過去」に執着する一方、北朝鮮
の「現実」を無視ないし軽視してきたツケが回ってきつつある。

韓国は今回の日韓首脳会談では、日本相手にもう“歴史講義”をしているヒマはない。対北
融和策を進めてきた盧大統領としては当初、日本の対北制裁措置など「強硬策」に対し、安
倍首相に注文をつける考えだったが、そうはいかなくなった。北朝鮮の核実験阻止に向け、
共同歩調を模索せざるをえなくなった。

今回の日韓首脳会談が北朝鮮問題中心で結果的に“過去離れ”になるという見通しに、ソウ
ルでは「安倍首相はまた北朝鮮に助けられる」(外交筋)という声が聞かれたが、逆に盧武鉉
大統領にとっては、その国際情勢認識や歴史観が試される苦しいものになりそうだ。

▽ソース:産経新聞 2006年10月8日付 6面