【新刊】森博達著(シム・ギョンホ訳)『日本書紀の秘密』(牡牛座)/原著『日本書紀の謎を解く 述作者は誰か』(中公新書)
まず第一に、これは「任那日本府説」などを含む韓日古代史の謎を一挙に明らかにしてくれる本ではない。
題名の「秘密」とは「日本書紀」の内容そのものではなく、それが記された過程、特に誰が書いたのかという謎を指している。
韓中日3カ国の言語を研究した著者は、それら3カ国の言語上の歴史や習慣を比較し、「日本書紀」という森を探検する。
著者はこの研究を通じて、「日本書紀」が2つの部分、すなわち完ぺきな中国式の漢文を駆使した「アルファ群」と、日本式の
漢語や単語選択の誤りが目につく「ベータ群」が混在していることを明らかにした、そのため、背景が異なる複数の著者が執
筆を行った可能性が高いという。
著者は中国から渡ってきた学者が執筆したアルファ群(第14〜21巻、第24〜27巻)と新羅に留学した日本人僧侶が書いた
ベータ群(第1〜13巻、第22〜23巻、第28〜29巻)、そしてどちらにも属さない第30巻に分けられると結論づけている。
これを手がかりに、著者は「日本書紀」が執筆された7世紀末の状況を推理している。同書は日本で第54回毎日出版文化賞
を授賞した。
http://japanese.chosun.com/site/data/html_dir/2006/09/03/20060903000001.html