「韓国戦争(朝鮮戦争)は祖国解放戦争だった」などと、金日成(キム・イルソン)
主席の主体思想を宣伝する内容の北朝鮮の歴史書を引き写した全国教職員労
働組合(全教組)釜山支部の資料集を、警察は今年初めに既に入手していたが、
積極的な捜査をしてこなかったことが分かった。警察はこの数カ月間、資料集
に利敵性があるかどうか検討するといいながら、その作業を後回しにしてきた。
最近になってマスコミの報道で資料集の存在が知られるようになり、検察が捜査
に乗り出したのを受け、全教組の各支部は27日、ホームページに掲載していた
北朝鮮を賛美する文章を一斉に削除した。
◆政府の目を気にして捜査を遅らせたのか?
検察幹部らは27日、「問題の資料集は釜山警察庁保安捜査隊が今年1月から2月
にかけて入手し、利敵性の有無について検討してきたもので、警察が今年4月初め、
自由民主研究学会に精密鑑定を依頼したものだ」と語った。この幹部らは「警察も
長い間利敵性の有無について検討してきた。検察もまた、ソウル・釜山地検公安部
の検事がこの問題を検討しており、関係者の事情聴取や処罰の問題について慎重
に結論を出す」と述べた。
しかし、利敵性があることは明らかであるにも関わらず、検察・警察ともに関係者の
処罰を後回しにし、自由民主研究学会が最近になって情報を提供したという話も出
ている。
法曹界の一部では、このような捜査の遅れは、盧武鉉(ノ・ムヒョン)政権になってか
ら検察・警察・国家情報院などの公安機能機能が大きく縮小された結果、十分に機
能しなくなったためだとの指摘も出ている。「検察・警察とも政府の目を気にしている
のがその原因というわけだ。
公安検事出身のある弁護士は「盧武鉉政権になってから、裁判所は北朝鮮のスパイ
とされる宋斗律(ソン・ドゥユル)氏(ドイツ在住)を釈放・帰国させ、北朝鮮寄りの発言
で物議を醸した東国大の姜禎求(カン・ジョング)教授を逮捕するよう主張していた金
鍾彬(キム・ジョンビン)前検事総長を辞任に追いやり、違法デモを取り締まった許准
榮(ホ・ジュンヨン)警察庁長官は農民2人が死亡した責任を問われ更迭された。検察・
警察の公安部門が相次ぐ違法ストライキや全教組の問題に十分な対応ができない
根本的な原因は、法律よりも政権の目を気にすることにある」と語った。
イ・ハンス記者
パク・ランヒ記者
ソース:朝鮮日報
http://japanese.chosun.com/site/data/html_dir/2006/07/29/20060729000004.html