【伊勢新聞/論壇】 小沢訪中に見え隠れする中国の思惑…日米関係と日中関係の違いを再考せよ [07/26]

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1エマニエル坊やφ ★
◇中国を利した小沢訪中  ― 外交の常識の節度を超す

 小沢一郎民主党代表の訪中が何かと話題になっている。
それは、小泉首相の靖国神社参拝に難癖をつけて日中の首脳会談を拒否してきた中国が、小沢氏が
訪中するや胡錦濤主席との会談を設営し、大いに厚遇したためである。
 この会談では、胡主席の方からは靖国問題は一言も発言がなく、小沢氏が提案した中国共産党と
民主党との定期的な交流協議のための機関設置で合意したようである。

 だが、それならこの時期に中国はなぜ小沢氏の訪中を強く希望したのか。
それは、靖国問題をことさらに持ち出すよりも、自民党と対抗して政権奪取を狙っている民主党の
代表と良い関係をつくる方が結果として日本の政界に与える影響が大きいとみたためであろう。
そして小沢氏は見事にその計画に乗せられたのである。

 小沢氏にも同氏なりの思惑があった。ちょうど6月末には小泉首相が訪米の旅から帰国したばかりで、
いわば入れ替えに訪中することになる。ここで首相との外交スタンスの違いを際立たせれば、小沢氏
自身の株も上がるし、民主党にも有利だとみたのであろう。

 小沢氏は別に中国べったりの政治家ではない。これまでも、中国の軍事力増強を批判して
「中国は超大国の仲間入りを狙っている」と述べたり(平成14年4月の講演で)、領土問題についても、
「日本の領土保全について中国側から干渉されるいわれはない」(平成11年2月の訪中の際)とタカ派
的な発言が目立っている。
 平成16年の訪中の際には唐家●国務委員との会談で、尖閣諸島の領有権問題に関して
「中国の主張に理があるとは思えない」と明言するなど、日本の政治家の中では最もズケズケ物を
言う硬骨漢で通ってきた。

 しかし、最近はややこれまでとニュアンスの違う発言が目立っている。例えば訪中直前の7月4日に
語ったという「日米中は正三角形の関係」という発言である。
 小沢氏の説明によると、日本と米国、日本と中国との関係は等距離で、日本が扇の要として米中の
橋渡しをする。そんな関係でなくてはならない、というものだ。つまり、小泉首相のように日米同盟一本
やりでもないし、中国やアジアに比重を置き過ぎてもいけない、ということのようだ。この日米と日中を
等距離に置く正三角形思考はかつて自民党の加藤紘一元幹事長も主張したことがあり、「米国と
中国を同列に置くのか」と激しく批判されたものである。

>>2以降に続きます。(長いので、ソースを見られた方が良いと思いますが、全部貼ります)

ソース:伊勢新聞 論壇
http://www.isenp.co.jp/rondan/rondan.htm
2エマニエル坊やφ ★:2006/07/26(水) 04:16:12 ID:???
>>1続き

 今回も、安倍晋三官房長官は「正三角形というのは間違いだ。日米は同盟関係で結ばれているが、
日中は単に仲良くしましょうと言っているだけの仲だ」と批判。麻生太郎外相も「普遍的な価値観を
共有しているのは日米で、日中ではない」と反論している。
 実はこうした小沢氏の考えは日米同盟についての基本的な認識の欠如につながっており、こういう
人に日本の政治を任せることはできないとの批判が出るのは当然だ。なぜなら、同盟の基礎にあるのは
自由と民主主義という共通の価値である。一方、中国は一党独裁の国であり、「法治」ではなく「人治」の
国であって、日本とは価値観が根本から違う。到底米国と同列に置くことは許されないのである。

 中国が小沢氏を重用したのには訳がある。

 第一は、小沢氏が日中国交正常化をやってのけた田中角栄元首相の子飼いの政治家であり、
「古い友人を大切にする」という中国の言葉にぴったり当てはまる格好の存在だ。こうすることで、
日本の政界に中国びいきを醸成することができると踏んだ。
 第二の理由は、この小沢氏が民主党の代表になってからというもの、自民党との対抗心むき出しで
事に当たっている。来年の参院選と次の総選挙で民主党の過半数獲得を実現し政権を自民党から
奪うためなら何でもやるとの心境である。

 そこで、中国からそっぽを向かれている小泉さんに代わって自分が行けばこんなに目立つ話はない
と考えた。案の定、中国は胡主席との会談を設定して最高の待遇でもてなした。小沢氏の得意や
思うべしである。

 だが、今回の訪中は、「外交は水際まで」という常識から見ると、いささか節度を超えているように
思えてならないのだ。結果的には相手を利することになったからである。

 中国は小泉首相の靖国参拝に反対して首脳会談を一切拒否してきた。ところが胡主席は野党、
民主党の小沢代表との首脳会談を設定し、しかも靖国には一切触れなかった。そして、胡主席は、
「政党間、政治家同士の対話・交流を強化することが、中日関係の健全で安定した発展に役立つ」
と当たり障りのない話に終始したのである。
 同じ民主党の代表でも前任者の前原誠司氏が昨年12月に訪中したときは同氏が「中国は脅威」
と公言したため会談は実現しなかった。このように、そのときの状況次第でクルクル態度が変わる。
 これが中国の対日外交の常道であり、極めてご都合主義的であることを忘れてはなるまい。

>>3以降に続きます。
ソース:伊勢新聞 論壇
http://www.isenp.co.jp/rondan/rondan.htm
3エマニエル坊やφ ★:2006/07/26(水) 04:16:47 ID:???
>>2続き

 靖国に絡んで、中国の横柄な態度に開いた口がふさがらなかったのは、武大偉外務次官がこのほど、
日本の首相、外相、内閣官房長官以外の閣僚や国会議員の靖国神社参拝に関し、原則「好ましくない」
としながらも、「中日関係への影響を最小限に抑えられる」と述べ、事実上容認する方針を明らかに
したことである。
 これを中国が柔軟な姿勢に転換したことの表れと歓迎した日本のマスコミもあるが、とんでもないことだ。
一体、靖国参拝について、どの閣僚までは駄目だが、どの閣僚なら良いなどと決める権限が中国に
あるのか。内政干渉もいいところではないか。
 しかし、筆者がハラが立ったのは、こうした中国の態度もさることながら、中国からお墨付きを
頂いたかのごとく喜んでいる日本の主体性のなさである。だから中国が首相の靖国参拝に反対すると、
それに直ちに迎合するような意見がまかり通ることになる。その中国は小沢代表を招いた際は靖国に
ついて何ら触れることをしなかった。恐らく日本の世論が中国の横暴さを非難するのを見て態度を
急変させたのであろう。

 ここで一種反省の意味を込めて中国問題を考えてみたい。一言で言えば、中国問題とは日本の
内政問題でもあることだ。中国が何かを叫ぶと、たちまち日本国内に賛否両論が起こって大騒ぎと
なる。外交は水際まで、という常識が忘れ去られてしまうのである。自由と民主主義の国という所為も
あろう。先方が一枚岩なのは、法治ではなく人治が支配する一党独裁の国だからで、むしろ先方の
弱みというべきことかもしれないのである。
 だが表面的には一枚岩に映った方が一見強そうに見える。中国問題は多分にこうした幻想によって
ゆがめられた面があることを否定できないだろう。

 小沢代表は中国で厚遇を受けたことで大いに気を良くしたようである。小泉首相との会談を拒否して
きた胡主席が自分との会談には応じたことで、小泉首相より一歩先んじたとの思いに浸っていることだろう。

 しかし、小沢氏はこの際、じっくりと胸に手を当てて考えるべきである。これは中国の日本政界分断策
ではないかと。
 恐らく中国はもう小泉首相のことはあきらめているはずで、その視点はポスト小泉に注がれている。
靖国参拝問題もその視点から発言していくことだろう。

 だが、日本国民からすれば、靖国参拝をするかしないかだけを日本の指導者の適否のバロメーターに
するのはやめてもらいたいのである。また、小沢氏が提唱した「日米中は正三角形」論に沿って外交
政策を推進するつもりなら、この人には日本の将来を任せるわけにはいかないと、この際はっきりと
宣言しておきたい。日米同盟しか日本の生きる道はないからである。(●は王ヘンに旋)

(伊勢新聞社東京支社嘱託・河本 弘)

ソース:伊勢新聞 論壇
http://www.isenp.co.jp/rondan/rondan.htm