韓国・情報通信部傘下の通信委員会は26日夜、携帯電話事業者(キャリア)3社らの不法補助金支給
に対し、是正措置として巨額の課徴金を課したと発表した。
通信委員会の是正措置を受けたのは、SK Telecom(SKT)、KTF、LG Telecom(LGT)と、KTF向け
携帯電話の販売を行っているKTだ。4社は不法な補助金を支給したとして、合計732億ウォン
(約88億8,000万円)もの課徴金を課されている。
1人あたりに支給した補助金額は、SKTが13万ウォン(約15,700円)、LGTが12万3,000ウォン
(約14,800円)、KTFが11万ウォン(約13,300円)、KTが8万8,000ウォン(約1万円)となっている。
これによりSKTには426億ウォン(約51億6,700万円)、LGTには150億ウォン(約18億1,900万円)、
KTFには120億ウォン(約14億5,500万円)、KTには36億ウォン(約4億3,600万円)の課徴金が課される
結果となった。それぞれのキャリアにとっては、これまで課された課徴金の中で最高額となる。
巨額の課徴金、その背景には――
これほど巨額の課徴金を課した背景には、3月27日から補助金が条件付きで法的に許可された
ことがある。それにも関わらず、4社がユーザー誘致のため補助金を支給していたことに対し、
同委員会は「厳重に制裁した」としている。
4月に補助金計算法の基準が変更されたことも、原因の1つに挙げられるだろう。これによると、
従来の基準はここ3年間の売上高となっていたが、変更後は不法補助金を支給した加入者の
数や、加入者あたりの月間平均売上高などを用いて算出する方法に変わった。実質的な
違反行為との連動性が高くなることにより、違反行為が大きければ大きいほど金額も巨額となる。
不法補助金に対する課徴金負荷はこれまで何度も繰り返されていることだが、今回はとくに
金額が大きいこと、そして計算法の改正後初めて適用された課徴金ということで注目を浴びている。
過熱する新規加入者の獲得競争
では正規の補助金を支給しているのに加え、不法な補助金を、それと分かっていながら支給
する理由は何だろうか。それは加入者の誘致だ。通信委員会によると今回の不法補助金に
関しても、新規加入者への支給が多く、機種変更者に対する不法補助金の水準は低くなって
いると報告している。不法補助金はより多くの新規加入者を誘致するために捻出されていた
ものなのだ。
韓国で携帯電話に対する補助金が、3月27日から条件付きで許可されたことは先にも述べた。
それ以前はどうであったかというと、基本的に補助金支給は禁止されていた。
これは、キャリアによる補助金合戦が加熱しすぎたためだ。
今回補助金が許可されるにあたっても、激しい補助金合戦が懸念されていたため、情報通信部
では市場の監視を強化しかつ課徴金の計算基準を厳格化している。
日本とは異なり、韓国の端末価格は日本の3倍前後と非常に高額。そのため、端末購入時の
負担を軽減してくれる補助金はユーザーから好意的に迎えられているが、その一方、頭打ち
の携帯電話市場においてより多くの加入者を確保しようとキャリア同士は熾烈な戦いを繰り広げている。
その罰として課徴金があるのだが、裏を返せば不法をおかしてでも補助金を出したくなるほど、
加入者数はキャリアにとって大事なものだとも言える。
ソース:
http://journal.mycom.co.jp/news/2006/06/27/381.html