専用車道を大型バスが走る「BRT」 広州市と深セン市が導入
■低コスト、定時が強み
中国広東省の広州市と深セン市が市内の交通渋滞緩和を目的に、専用車道を大型バスが
走る「BRT(バス・ラピッド・トランジット)」の導入を決めた。2010年までに広州市は4路線、
深セン市は5路線を整備する計画だ。BRTは、路線さえ確保できれば専用軌道を使う都市型
新交通システム「LRT(ライト・レール・トランジット)」の10分の1のコストで建設が可能という。
すでに北京市でBRT運行が一部始まっているほか、上海市など地方都市でもBRTの建設計画
が進んでいる。(河崎真澄)
≪高速で大量≫
BRTは1970年代にブラジルで開発された乗客輸送システム。一般車道とは異なる専用車道
を専用バスが比較的速いスピードで乗客を大量輸送する。BRT専用車道では原則として一般
車両の通行や横断などが認められず、LRTに近いスピードや輸送能力が期待され、専用軌道
がないためLRTの10分の1程度の路線1キロあたり5億円程度で建設ができる。
中南米で普及した後に米国やカナダ、韓国でも導入された。コストのほか短い建設期間でも
注目され、中国の地方都市でも相次ぎ導入が検討されている。BRTは車両が全長20メートル
から30メートルと大型で、エアコンなども装備しているほか、渋滞のない定時運行が強みだ。
広州市交通当局によると同市のBRT導入計画は4路線で総延長は約70キロ。同市ではBRT
第1路線の建設を計画している市内の中山大道で、23路線に786台の公共バスが走り1時間
あたりピーク時に2万人の利用客がある現状を、BRT開通後は公共バス運行台数322台まで
減らし、過半数のバス乗客をBRTにシフトさせることが可能だと試算している。
≪年内着工≫
また香港に隣接する深セン市では、10路線で総延長300キロのBRT導入計画をまとめた。
第1号となる路線は年内に着工し、総工費13億元(約182億円)を見込む。
同市ではBRT開通により、並行する一般道を走る公共バスの走行平均時速が現在の約12キロ
から22キロ以上にアップし、交通渋滞も大幅に緩和されるとしている。BRT車両は全長約30メートル
で乗車定員は180人以上。1時間当たりの輸送能力は最大で3万人に達する。
中国におけるBRTの導入は、夏季五輪を控える北京市が昨年の一部開通に加え2008年まで
にさらに3路線、万博を開催する上海市が10年までに総延長150キロの建設を計画している。
このほか山東省済南市が総延長80キロを予定しているほか、浙江省杭州市も10年までに9路線
設置を計画し作業を進めている。四川省成都市でもBRT導入が計画されている。
中国では今後5年間の経済政策「第11次5カ年計画」で省エネと環境保全が重要課題と
なっており、交通渋滞によるガソリン消費や二酸化炭素など有害ガス排出量の増大を低減させる
ためにもBRT導入に注目が集まり始めた。公共バス以外は都市交通が未整備な中国の地方都市
は地下鉄の建設とともに今後、環境保全策してもBRT導入に拍車がかかりそうだ。
ソース:フジサンケイビジネスアイ
http://www.business-i.jp/news/china-page/news/200606150004a.nwc 関連:
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