ポジティブリスト対応 対日向け検査強化 日系食品各社
■20社、初の合弁も
海外からの農産輸入品に対し、日本が先月29日から、残留農薬規制の強化策
「ポジティブリスト」の導入を始めたことに対応して日系食品各社が中国で対日向け
の検査体制を強化している。
▼商機も活発化
東洋精米機製作所(和歌山市)と残留農薬分析で実績のある財団法人雑賀技術研究所、
給食サービスのシダックス、島津(香港)など20社が出資するアジア食品安全研究センター
(東京都中央区)は、2003年1月に山東省青島市に設立した食品安全開発センター
「青島誠誉食品安全研究開発」を中国の政府系機関との合弁会社に変更し、中国企業を
含め本格的に日本向けの残留農薬検査サービスを開始した。
日本企業が、中国企業相手にも食品安全検査サービスができる会社を立ち上げたのは初めて。
日系食品メーカー各社は、ポジティブリストを含めた今回の改正食品衛生法の引き金に
なった02年以降に相次いだ中国産ホウレンソウの残留農薬検出問題などを機に、
安全対策を強化。中国での契約農家からの原材料調達から加工まで一元管理する対応策を
整備したが、今後は検査サービスを商機にする動きも活発化しそうだ。
中国が規定する輸出品の検査体制の法律(通称第58法令)では、第三者機関として中国
で残留農薬などの食品検査を有料で行うには本国での3年以上の検査実績と、06年までは
中国政府が認可した検査企業との合弁会社が条件とされている。
新会社は「青島中検誠誉検測」。アジア食品安全研究センターを通じて設立した
「青島誠誉食品安全研究開発」を合弁会社に変更。新たに中国国家認証認可監督管理委員会
など中国政府の傘下の認証検査機関の中国検験認証集団(CCIC)の山東省子会社と
青島検験検疫綜合技術服務中心が10%ずつ出資した。
新会社は合弁会社手続き中から、山東省のお墨付きを得て日系企業などに有料で検査業務
を開始しているが、合弁会社の設立で、本格営業できる体制となった。
▼ニーズは拡大
特に「ポジティブリスト」導入前の3月末以降は、同社へのサンプル検査依頼が急増し、従来の
月間100件のサンプル検査件数が3〜4倍に増えているという。
現状では月間200件の検査が最大で「研究員を増強しているが検査依頼に追いつかない状況」
(アジア食品安全研究センター)が続いているという。
特に山東省は中国からの農産品対日輸出約79億ドル(約9006億円)の約33%に相当する
26億ドル(約2964億円)を占め、このうち生鮮野菜は4億7000万ドル(約536億円)と日本への
依存度が高く、今後も検査ニーズが拡大しそうだ。
日本向けの冷凍野菜などを手がける日系各社は検査体制を強化している。ニチレイと日清製粉
グループ本社は昨年11月に折半出資で山東省煙台市に食品の分析検査および研究開発を行う
新会社「錦築(煙台)食品研究開発」を設立、自社の日本向け製品の安全性の分析評価、
生産技術研究開発を行っている。
また、中国でレトルトカレーなどを展開する大塚食品も5月19日に
「大塚(上海)食品安全研究開発センター」を投資額230万ドル(約2億6000万円)で竣工。
残留農薬、食品添加物、重金属、遺伝子組み換え食品、微生物などの検査を行う体制を整備し、
将来は中国企業向けの検査も受注したい考えだ。
ソース:フジサンケイビジネスアイ
http://www.business-i.jp/news/china-page/news/200606150007a.nwc