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●威嚇は許されぬ■米国のアラスカにも届くといわれるテポドン2に注目が集まっていた。だが、
打ち上げ直後に失敗したと米政府などは見ている。■日本にとってより深刻なのはノドンだ。日
本列島がすっぽり射程内に収まる。北朝鮮はこれを200基配備しているという。核弾頭が積ま
れていたらと、ぞっとした人は少なくないだろう。■北朝鮮は93年にノドンの、98年にはテポドン
の発射実験をした。その後、99年に発射凍結を米国に約束した。02年の日朝平壌宣言でもそ
れを確認した。今回の発射はこれをすべてほごにするものだ。■北朝鮮は核兵器を保有してい
ると宣言した。核不拡散のための国際的な約束に背を向け、監視の目をかいくぐって開発したも
のだ。そんな国が弾道ミサイルを持ち、発射実験で周辺国を威嚇するのは許しがたい。■北朝
鮮はミサイル本体や技術を中東などに輸出してきた。ただでさえ不安定な地域にミサイルの火
種を持ち込むのは無責任きわまりない。■核保有宣言といい、ミサイルといい、一連の行動は
「ならずもの国家」と呼ばれても仕方あるまい。
●対応は厳しく冷静に■北朝鮮はミサイルの開発、実験は主権に属することであり、他国の干
渉は受けないと主張している。だが、国際社会の秩序を乱し、近隣国を威嚇するような国がいく
ら「自主権」を言っても、そのまま認めるわけにはいかない。■北朝鮮は国際社会からの猛反発
は承知のうえなのだろう。それでもなおミサイルを発射したところに、北朝鮮の外交的な行き詰
まりが見て取れる。■核放棄をめぐる6者協議が停滞するなかで、米国などは金融や人権で締
め付けを強めている。だが、米国と直接協議したくても応じてくれない。日本も拉致問題などで
圧力を強める。頼みの中国もさほど味方してくれない。■こんな局面を転換するにはミサイルと
いう脅しのカードを使うしかないと見たのだろう。いつもの「瀬戸際作戦」だ。■ミサイルは、米国
の独立記念日に合わせて発射された。北朝鮮問題に多くの時間を費やした日米首脳会談の直
後、ロシアでの主要国首脳会議の直前でもある。挑発の狙いは明らかだ。■一方で、今回の発
射をめぐっては、北朝鮮内部の統制の乱れを指摘する見方もある。独裁国家の、外からはうか
がい知れない危うさである。■日本政府は北朝鮮の貨客船、万景峰号の入港を半年間認めな
いなど9項目の措置に踏み切った。強い抗議の意思を示すには当然だ。さらに送金や貿易の停
止などの制裁措置も検討していくという。■国連の安全保障理事会は緊急会合を招集した。北
朝鮮に強いメッセージを送る必要がある。いたずらに危機をあおっても逆効果であること、6者協
議に誠実に向かい合ってこそ生きる道が開けてくることをはっきりと伝えるべきだ。■米国も「あ
らゆる必要な措置をとる」としつつ、外交的な解決を目指すという。冷静に、しかし厳しい態度で
臨むという方針で足並みをそろえたい。
●日中韓連携を強めよ■重要なのは国際社会の一致した行動だ。日本政府は国際協調を率
先して追求してもらいたい。北朝鮮の出方を見つつ、段階的に対応する構えが大事だ。■北朝
鮮の問題を解決するにはやはり米国の存在が大きい。だが、イラクやイランへの対応に追われ、
危機感をもって向き合ってこなかった面は否めない。■ミサイルの脅威を肌で感ずるのは日本と
韓国だ。緊張の高まりには中国も安閑としてはいられまい。なのにこの3カ国の協調が何とも心
もとない。■ミサイル発射と時を同じくして、韓国の海洋調査船が竹島周辺の、日本が主張する
排他的経済水域(EEZ)に入った。日本の抗議は無視された。この問題では双方が突っ張り合
い、感情的なもつれを増幅させるばかりだ。■底流には、盧武鉉大統領の民族感情をあおる強
硬姿勢とともに、小泉首相の靖国神社参拝も大きく響いている。靖国問題は、日中でも首脳の
相互訪問をもう5年も閉ざしている。■だが、平穏な環境をつくることこそが3カ国の利益が共通
する最重要の課題ではないのか。日中韓の政治指導者は優先順位を間違ってきたとしか思え
ない。■米国の関与を促すと同時に、北朝鮮の暴発を防ぎ、危機の水準を下げるために3カ国
の協調を早急に立て直すべきだ。
【朝日社説】北朝鮮、ミサイル発射…こんな時こそ日中韓の連携が大切だ [06 7/6]
http://news18.2ch.net/test/read.cgi/news4plus/1152140417/l50