ttp://www.nikkeibp.co.jp/sj/column/i/24/ “外交弱小国”日本の安全保障を考える 〜ワシントンからの報告〜 古森義久氏
SAFETY JAPAN [コラム] 日経BP社
第24回
靖国問題、ワシントンは中国の態度に批判的
「小泉純一郎首相あるいはその後継首相は中国からの圧力で靖国神社参拝を中止するようなことがあってはならない」。
中国政府や日本の親中志向の、例えば経済同友会の人たちが聞けば激怒するような言葉である。米国議会の超党派の
政策諮問機関「米中経済安保調査委員会」のラリー・ウォーツェル委員長がついこの5月なかばに語った意見だった。
日中関係の緊迫にからんで話題となる靖国参拝問題では米国がどんな反応をみせるかは日本にとっても、中国にとっても
重大関心事である。日本にとっての同盟国米国、中国にとっても最大の影響を受ける超大国の米国がどのような態度をとるか
は、日中間の靖国論議を根本から左右しかねないのだ。
その米国の態度については日本のマスコミの多くや、自民党内の森喜朗氏や加藤紘一氏のような有力政治家までが「ブッシュ
政権も含めて米国側は小泉首相の靖国参拝に反対している」というような構図を描いてきた。
だがワシントンで実際に考察する限り、この構図は事実と反する。まずブッシュ政権は靖国問題には一切、関与しないという
姿勢をはっきりとさせている。さらに日本と中国が関係を緊迫させても、よほど険悪とならない限りは介入や調停はしない、
という態度である。しかも中国の強硬な対日姿勢に対しては批判さえにじませる。
(以下略