■社説:盧大統領談話 やはり平静に対話すべきだ
韓国の盧武鉉(ノムヒョン)大統領が25日、日韓関係について特別談話を発表した。
竹島(韓国名・独島)の領有権問題と歴史認識問題を結びつけ、日本を激しく批判する
内容だ。海底地名問題をめぐる衝突の危機が回避された直後というのに、逆に対立を
あおるような談話を発表したのは遺憾だ。
盧大統領は島根県が竹島の日条例を制定した昨年3月にも大統領府ホームページ
に談話を発表したが、今回はテレビを通じ「静かな対応では管理できない。物理的挑発
には断固として対応する」と国民に訴えた。
昨年の談話でも「日本が侵略と支配の歴史を正当化するのをこれ以上黙って見ている
わけにはいかなくなった」などと対日強硬姿勢を示したが、今回はさらに激しい。
ポイントは「日本が独島に対する権利を主張することは、植民地時代の領土権を主張
することだ」とし、「日本が誤った歴史を美化し、それを根拠とする権利を主張する限り
韓日友好は成り立たない」と断じている点だ。
この論法に従えば、日本が竹島の領有権を主張する限り日韓友好はあり得ないというこ
とになる。あまりに硬直的な姿勢だ。
竹島については、歴史的な資料から日本政府は「遅くとも17世紀半ばには日本が実効
的支配に基づき領有権を確立していた」と主張している。1905年の島根県による竹島編入
は領有の意思の再確認という位置づけだ。
一方、韓国は6世紀初頭の新羅時代から固有の領土だったと主張する。竹島の日本編入
は第2次日韓協約で外交権がはく奪されたあとに行われた無効なものであり「領有権は実効
支配によって不動」という立場を強調している。
だが、「実効支配」といっても日本から見れば、1952年の李承晩大統領の一方的な海洋
主権宣言によるものということになる。
複雑な歴史的背景を抱える領有権問題は主張がぶつかり合うのが常だ。だからこそ、双方
の指導者には冷静な対応が求められる。今回でいえば、海底地名の件は純粋に学術的な
問題として取り扱うのがスジであり、領有権や排他的経済水域(EEZ)の問題とからめるべき
ではない。その点で、谷内正太郎外務次官が竹島周辺海域の日韓共同調査と共通名称を
提案しているのは理にかなっている。
韓国は公式には日韓間に領土問題は存在しないという立場だが、大統領が竹島問題で特別
談話まで出したこと自体が領土紛争の存在を認めている。しかも、大統領は日韓の対立点に
ついて、すべて日本が間違っていると強調する。
そこまで言うなら、なぜ国際司法裁判所への付託に同意しないのか。これでは、海底地名問題
での国内での弱腰批判をかわすための政治的ポーズととられても仕方あるまい。
大統領は「世界世論と日本国民に日本政府の不当な処置を訴え続ける」とも語っている。
自国の立場を内外に向けて語るのもいいが、一方的な発信では共感は得られない。
ソース:毎日新聞 2006年4月26日 0時13分
http://www.mainichi-msn.co.jp/eye/shasetsu/news/20060426k0000m070159000c.html 関連:
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http://news18.2ch.net/test/read.cgi/news4plus/1145460771/ 【毎日社説】友好国・韓国との関係を「衝突」寸前まで悪化させたことは、東アジアのリーダーを名乗る資格を疑わせかねない〔04/23〕
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